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2021/01号
姫路藩幕末シリーズ(6) 番外編 林田藩の勤王志士
(林田町)
現在の姫路市域には江戸時代、姫路藩だけでなく林田藩、安志藩の2つの藩が存在した。その中で、幕末の歴史に名をとどめているのが林田藩の藩校・敬業館の教授を務めた河野鉄兜である。鉄兜は網干の余子浜村の医師の子として生まれ、幕末シリーズ(1)でも紹介した河合道臣が開いた「仁寿山黌(校)」に学び、江戸など各地を遊歴。儒学者・思想家として名声を高め、林田藩9代藩主建部政和のたっての要望で敬業館の教授となり、多くの子弟を教育。尊王攘夷の思いを込めた「芳野懐古」を残した漢詩人としても知られている。
もう一人、映画やテレビで再三取り上げられ、岡田准一主演の姫路FC支援作品「燃えよ剣」にも登場する「池田屋事件」で名を残すのが元林田藩士の大高又次郎である。池田屋事件は京都三条木屋町の旅館、池田屋に潜伏していた長州藩や土佐藩の勤王攘夷派の志士たちを新選組が襲撃する事件だが、このとき肥後藩の宮部鼎蔵、長州藩の吉田稔麿ら名高い志士とともに殺害されたのが大高又次郎であり、捕えられて獄中で横死したのが又次郎の養子、大高忠兵衛だった。林田藩は小藩ながら教育に熱心な藩と知られ、その熱く流れる血が大高又二郎らを育んだのかもしれない。
その林田の地で、映像的に外せないのが藩校・敬業館で、林田藩の陣屋跡の南側に入母屋造りの講堂が建っている。兵庫県下に残る唯一の藩校の建物で、式台付きの玄関には江戸中期に寛政の改革に取り組んだ松平定信筆と伝わる「敬業館」の扁額が掲げられている。
もう一つは兵庫県指定重要有形文化財でもある「林田大庄屋旧三木家住宅」。三木家は羽柴秀吉の播磨侵攻によって滅ぼされた英賀城主三木氏の出自で、英賀城の落城後、この地に逃れ、帰農したと伝えらえている。
長屋門から入ると、広々とした前庭の先に瓦葺きの小屋根、茅葺きの大屋根、瓦葺きの庇を重ねた重量感のある主屋が待ち受け、建物内に弁柄壁に囲まれた表座敷や白漆喰で塗り固めた内蔵などがあり、江戸時代の大庄屋の暮らしをリアルに再現することができる。
最後に紹介しておきたいのが、かつて河野鉄兜の墓碑が立っていたという(現在は林田町林谷の大谷口霊園内に改葬されている)道林寺。敬業館の北西方向、国道29号から少し山際に入った閑静な一画にある寺で、枯れ葉が舞い落ちた石段の先に簡素な鐘楼があり、さらに進むと脇戸のついた味わいのある山門が待ち受け、白漆喰が剥げ落ちた土塀が続く石段の先には神仏混淆の名残を伝える石鳥居や歴史を感じさせる宝篋印塔などが見られる。時代ドラマのロケ地としても充分使えそうな雰囲気で、国道のすぐそばという立地の良さもあり、こちらもぜひロケハンをお勧めしたいところだ。
姫路城関連イベント開催のお知らせ
【「夢追い人」高田賢三追悼展の開催】
2021年1月9日(土)〜1月24日(日)の期間で、姫路市民プラザ特別展示室にて『「追い人」高田賢三 追悼展』が開催されます。姫路市出身の世界的デザイナーである高田賢三氏へ哀悼の意を表しての展覧会となります。高田賢三氏は姫路市とフランス、そして日本とフランスの懸け橋として世界的にデザイン活動をされ、多くの人々を魅了してきました。その功績をたたえ、写真や映像でその生涯を振り返ります。
【開催日時】2021年1月9日〜1月24日
【開催場所】姫路市民プラザ
市民ギャラリー特別展示室
(イーグレ姫路地下1F)
〔詳細〕
【心で旅する姫路 Presented by Himeji FC】
〜姫路の魅力を心で楽しみ、旅した気分になろう〜
姫路の魅力をフィルムコミッション目線で、動画や写真にてご紹介させて頂く「心で旅する姫路」サイトにて動画をUPしましたので是非、ご覧頂けたらと思います。
【もぎたての香り!甘酸っぱい”安富のゆず”】
https://youtu.be/mHZhvC3A3xk
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