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2020/04号

時空を超えてタイムスリップ。不思議な感慨の播磨国分寺跡

(姫路市御国野町)




 JR神戸線御着駅にも近い御国野町国分寺にある国指定史跡「播磨国分寺跡」。天平13年(741)に仏法の加護により国家の平安を祈念する聖武天皇によって国ごとに国分寺、国分尼寺の設置が決められたが、播磨国に設けられたのがこの播磨国分寺。2町(約218メートル)四方の寺域に七重塔、金堂、講堂などの伽藍が建ち並び、壮大な寺観を誇っていたと考えられている。

 昭和43年(1968)から平成3年(1991)までの間に計13回の発掘調査が行われ、周囲を築地塀が巡り、中軸線状に南大門、中門、金堂、講堂、僧房、北門が一直線に並び、東南隅に塔が位置するという伽藍配置が確認された。その上で、寺域の南半分を「ふるさと歴史の広場」とすることになり、塔跡や回廊跡を整備。広大な敷地の中に築地塀や石燈籠、塔跡の基壇などが復原された。

 寺域の北側には古色を帯びた重い本瓦葺きの牛堂山国分寺が建ち、限りなく広がるような播磨国分寺跡地を引き締めているが、面白いのが跡地のすぐ南側をJR神戸線と山陽新幹線の線路が走り、列車が頻繁に行きかっていること。

 特に、静寂の中に往時の威容らしきものを偲ばせている1辺が200メートル以上もある広大で平坦な跡地の南側を、新幹線の様々なタイプの車両が轟音を響かせ、ほぼ10分間隔おきぐらいに疾走していく光景に目が引かれる。その両者の対比を見るにつけ、奈良の都を中心に栄えた、唐や西域の影響を受けた華やかな天平文化の時代から、時空を超えて、ふと現代にタイムスリップしてきたような、逆に機械文明の発達した現代から仏教が盛んだった古の空間に旅立ってきてしまったような不思議な感慨に襲われるのだ。

 広大な敷地ゆえに、どこまでも低く、広く続く空とも相まって、まるで時間と空間の裂け目に落ち込んでしまったような気分がしてくる。そうしたSFチックなドラマに使いたい舞台、ロケ地だといえるだろう。

 さらに付け加えておくと、跡地の北側に建つ白い築地塀を巡らせた牛堂山国分寺も充分絵になる。播磨国分寺の後継寺院として、寛永16年(1639)に姫路藩主松平忠明によって再建された真言宗の寺だが、落ち着き払った境内や古い堂塔にも魅力がある。

 播磨国分寺跡に面した南側の山門、境内に佇む本堂、開山堂、観音堂、鐘楼、さらには北側の小ぶりな山門……。いずれにも味わいがあり、江戸時代の寺院として映し出すことができるだろう。

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