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2019/10号
駅(駅舎)のある風景(2)
JR姫新線太市駅(姫路市相野)・JR神戸線御着駅(同市御国野町)
姫路市と岡山県新見市を結ぶ姫新線の太市駅。太市は「姿は山城(京都)、味は太市」と、その味の良さをうたわれるタケノコの一大産地で、駅周辺の小高い丘にはよく手入れされた竹林が広がり、のどかな里山風景を形づくっている。そうした風景にポツンと寄り添い、町の来し方と行く末を見守るかのように静かに佇んでいるのが太市駅だ。切妻屋根の小さな駅舎が印象的で、無人駅になって久しいせいか、出札窓口の閉ざされたシャッターもうっすらと錆びついており、かつては駅員らが忙しく立ち働いていたであろう板張りの駅務室もシャッターが下ろされたまま。ここだけは時間が止まったままなのである。
素通しになった改札口とホームをつなぐ階段部分の差し掛け庇(ひさし)も、出入り口の木製の引き戸もレトロな風情で、ホームの上屋の支柱には廃レールが使われ、ホームの背後には古い枕木が駅との間を仕切るかのように立っている。
加えて得がたいのが、駅前に今は使われていないタクシー会社の社屋が時代から置き忘れられたかのように残っていることで、駅舎に駅員さんを戻し、タクシー会社に古いセダンの車両を配置すれば、ドラマのワンシーンに使いたい「昭和」の時代の、どこにでも見られた駅前風景が甦ってくる。
今回紹介するもう1つの駅(駅舎)は御着駅。古くは黒田官兵衛が家老として仕えた小寺氏の居城・御着城があり、江戸時代には姫路と加古川の「間の宿」(あいのしゅく)として賑わった御着の町の玄関口に当たる。
切妻屋根にフラットな車寄せを配した、昭和10年(1935)に建てられた古い駅舎だが、平成26年(2012)の大河ドラマ「軍師官兵衛」の影響で乗降客が増えたせいもあってか内部は新しく手が加えられており、レトロ感は薄いが、木造の店舗や元は旅館だったという感じの建物が並ぶ駅前はどこか懐かしい。「そう、昔の駅前って、こうだったよなあ」と既視感を抱かせる風景なのだ。
もう1つ、御着駅の面白さは新幹線の高架が駅のすぐ南側をあって、新快速や貨物列車、特急列車など在来線の多彩な車両と並行して走っていることで、1時間に何本もの新幹線が頭上から「シャー」という音を響かせて走り抜けていく。
特に人気なのがドクターイエローと呼ばれる、線路の歪みや架線の状態などを検査しながら走行する車両と駅舎とが絡んだ構図だそうで、「撮り鉄」と呼ばれる鉄道ファンの聖地の1つになっているという。一度は見てみたいものだ。
姫路へ行こう!今月の話題はこれ
播州姫路・秋祭り
今年も播州姫路・秋祭りが各地域で開催されます。豪華絢爛な屋台が練り歩き、勇ましい獅子が舞を披露しますので是非、ご覧ください。
〜秋祭り「毛獅子の舞」〈大塩天満宮〉〜
大塩天満宮の秋祭りの獅子舞は兵庫県の重要無形民俗文化財にも指定されおり、県内外にも広く知られています。8氏子8地区から参加する8頭の獅子は、いずれも頭から尾先まで、真っ黒な毛でおおわれた毛獅子が特徴で、これはふつうの神楽獅子と違って、野獅子を表現したもので、頭部が5kg、胴幌(どうほろ)は15キロもの重さがあります。
鎌倉時代に始まり、室町時代に形が整ったと言われており、真っ黒な毛を振り乱し、まるで生きているかのように舞う力強さは圧巻です。
【開催日】
令和元年10月14日(月)〜 令和元年10月15日(火)
【場 所】
大塩天満宮
【実施者】
大塩天満宮獅子舞保存会
〜松原八幡神社秋季例大祭(灘のけんか祭り)〈松原八幡神社〉〜
播州地方最大の秋祭りで毎年15万人前後の見物客で賑わう歴史ある祭祀です。
宵宮では各地区から7台の屋台が町内を一巡し、松原神社に集い境内でお祓いを受け宮入り、宮出しの祭事を行った後、楼門前で2台から3台の屋台が力強く練り合わせます。
翌日の本宮では、早朝5時からの露払い行事に始まり、海で体を清める潮かきの儀、クライマックスでは、神社の西、約1kmにあるお旅山の練り場(南北を段々畑の桟敷に囲まれた自然の劇場)に移って、3基の神輿のぶつけ合いや6村の豪快な屋台練りが行われます。
今年の練り番町は「東山」となっており、楼門前で差し上げて、前後を入れ替え再び差し上げるのは東山だけです。
【開催日】
令和元年10月14日(月)〜令和元年10月15日(火)
【場 所】
松原八幡神社、御旅山<本宮>
【実施者】
姫路「灘のけんか祭り」伝承会
〜提灯祭り〈魚吹八幡神社〉〜
魚吹八幡神社の秋祭りは、播磨地方でも最大の、24ヶ村1万数千戸の氏子を抱える壮大な祭りです。「提灯祭り」といわれるように、祭りの呼び物は宵宮の提灯行列と、桜門前で繰り広げられる宮入前の提灯練りです。各地区から宮を目指して連なってきた提灯行列は、参堂をまるで光の波のようにゆるやかに進んで行きます。最後は提灯を壊れるまで激しくぶつけ合い祭りは最高潮に達します。
【開催日】
令和元年10月21日(月)〜令和元年10月22日(火)
【場 所】
魚吹八幡神社
【実施者】
魚吹八幡神社氏子惣代会