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2018/08号
全国一、二を争う古い農家の遺構「千年家」の得がたい魅力
(姫路市安富町)
姫路市の最北部、林田川の上流に開けた山間の町、安富町皆河に「千年家」と呼ばれる古井家住宅(国指定文化財)がある。入母屋造り、茅葺屋根、平入りの播磨地方の古い民家の形を伝える家で、建築年代を明らかにする資料はないが、上屋の主な部分の建築技法から見て室町末期の建築と推定されている。茅が分厚く葺かれた屋根、深くて低い軒、その下に覗く赤みを帯びた土を塗りこめた外壁、ぽっかりと暗く口を開けたように見える窓と戸口…。古井家住宅は民家としては全国一、二を争う古い遺構だといわれるが、この外観だけでもどこか「まんが日本昔ばなし」に出てくる農家を思い起こさせる。
開け放たれた戸口と窓の障子越しにわずかに陽が差し込むだけの薄暗い建物内に入ると、さらに時代を引き戻されたような気がしてくる。正面左手が居室部分で、南側に「おもて」、北側に「なんど」と「ちゃのま」が配置されている。右手は農作業もできる広い土間(にわ)で、かまどが設えられ、入口の脇には農耕馬を飼っていた「うまや」もある。
少しずつ目が慣れてきて、あたりを見回すと、江戸時代以降に建てられた豪壮な古民家と違って太い柱や梁もなく、思いのほか細い柱が等間隔に建つだけで、天井にも板は張られていない。
それどころか、「なんど」と、「たな」や「いろり」のある「ちゃのま」の床は板ではなく竹の簀の子(すのこ)で、その上にむしろが敷かれているだけ。おもての間の床はさすがに板張りだが、表面には魚の鱗(うろこ)のような削り跡が見られる。大工道具の鉋(かんな)がまだ登場していなかった時代に、木を削る道具として用いられていた手斧(ちょうな)ではつった跡で、この時代はまだ木材を板に加工するのが難しかったようである。
おもての間の西奥に亀石と通称される石があり、厄除けとして大切に祀られている。幾度かの火事の際にはこの石が水を噴き出して家を守ったという伝説があるためで、古井家は長く「無災の千年家」といわれてきたという。
建物の中に入って佇んでいる間に思い出したのが、東京の名画座で観た溝口健二監督の映画「雨月物語」と、先般亡くなった姫路ゆかりの脚本家橋本忍さんと黒澤明監督の映画「羅生門」。いずれもモノクロで、おどろおどろしかったことしか覚えていないが、二人の名監督ならこの古井家住宅、きっと気に入ってもらえたに違いない。
姫路へ行こう!今月の話題はこれ
櫓漕ぎ体験会
今年も姫路城内堀にて櫓漕ぎ体験会を実施します。
滅多に体験できないですので、この機会に是非、参加してください。
【櫓漕ぎ体験会の実施について】
■主 催 姫路藩和船文化協議会
■実施日時 平成30年8月23日(木)24日(金)2日間
(午前の部)午前10時〜 午前11時30分〜 2回
(午後の部)午後2時〜 1回 約1時間
■場 所 姫路城内堀
(好古園東側付近・和船乗場)
■内 容 姫路藩和船の解説、操船道具の解説、
船上での櫓漕ぎ体験
■申込み先 姫路藩和船文化協議会事務局
電話:079-280-3371
受付時間:午前9時から午後4時
(月曜から土曜)
■参加費 櫓漕ぎ体験会への参加費用は無料です。
定員は、各回20人まで(先着順)となっ
ています。中学生未満の方は、保護者同
伴でお申し込みください。
(当日キャンセル可能。)
■そ の 他 悪天候の場合は講義のみとなる可能性が
あります。予めご了承ください。
<持ち物> 運動靴(動ける服装) 帽子やドリンク
手柄山植物園の夏休みイベントということで、「食中植物園」と「市花さぎ草展」が開催されます。
「食中植物園」では、個性豊かな食中植物100点が展示され、「市花さぎ草展」では、園内で大切に育てられた「さぎそう」200点が展示されますので、是非、足をお運びください。
■開催日 <食中植物園> 平成30年7月14日(土)〜9月2日(日)
<さぎ草展> 平成30年8月11日(土)〜8月23日(木)
■開催時間 午前9時から午後5時まで(入園は午後4時30分まで)※金曜休園
■入園料 大人200円、6歳から中学生は100円
■内 容 <食中植物園> 食中200点の展示のほか、各種食中植物の解説、
育て方など職員のミニ講習会が実施されます。
毎週土、日曜 各日11時〜
<さぎ草展>
さぎそう200点の展示のほか、さぎそうを年中開花させる技術や無菌培養について紹介するミニ講習会も開催されます。
開催日は11日(土曜)、12日(日曜)、13日(月曜)、14日(火曜)には、各日、抽選で入園者100名様に「さぎそうの苗」のプレゼントがあります。
■主 催 姫路市立手柄山温室植物園 共催:自然と盆栽同好会
電話:079-296-4300