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2016/06号

池の水面に浮かぶ校舎。学園ドラマに魅力のロケ地

（姫路市・四つ池）

　１９８０年代の「３年Ｂ組金八先生」「熱中時代」から２０００年代の「花より男子」「のだめカンタービレ」「ＲＯＯＫＩＥＳ」あたりまで、いわゆる学園ドラマは高視聴率＆感動作のキラーコンテンツとしてその地位を確立していたのだが、なぜか昨今はあまり見かけなくなった。ようやくこの７月からＴＢＳの日曜劇場で寺尾聡主演の「仰げば尊し」が始まるようだが、“学園”は誰もが一度は通過し、いろんなドラマを経験する舞台。“熱血先生”が存在しにくい時代になったとはいえ、学園ドラマはまだまだ捨てがたいコンテンツだといえるだろう。

　そうした学園ドラマ、とりわけ地方の高校を舞台にしたドラマのロケ地としての魅力を備えているのが今回の「四つ池」。江戸時代に灌漑用に掘られた溜め池で、井ノ口、町坪、苫編の３つの地域にまたがって南北に四つの池が並んでおり、それぞれに特徴がある。

　中でも目を引くのが、一番北に位置する池で、畔に白い鉄筋コンクリート建ての県立姫路商業高校の校舎が建っている。いかにも学園という雰囲気の清潔感と明るさに包まれた校舎と校庭で、背後の山の緑ともうまく溶け合い、魅力的な佇まいを見せている。高校に近い湖畔部分は公園化されているが、それ以外、周囲は住宅地。池を取り囲む校舎と家々のシルエット、山の緑が水面に映し出され、〓学園の町〓にぴったりの情景を描き出している。校庭の南側に山に向かうハイキングコースの登り口があり、少し登ったあたりから捉える高校や池のカットにも捨てがたいものがある。

　続いて北から２つ目の池は、池に打ち込むゴルフ練習場で、すぐそばには高校生たちが通学に利用するバス停がある。

　北から３つ目と４つ目の池は、四つ池の本来の目的であった灌漑用の溜め池のイメージを今なお色濃く残している。西側に県立姫路しらさぎ特別支援学校の校舎と校庭が見え、これまた学園ドラマのロケ地にぴったりの風情を醸しているのだが、支援学校から南側には池を周回する道はなく、山の木々が水面に覆いかぶさるように枝を伸ばし、濃い影をわだかまらせている。

　また、池と池の間には２つの池を隔てるように曲線を描く細い道が続いており、その上を戯れながら歩く制服姿のカップルをカメラに捉えたいような誘惑にかられる。

　道をそのまま東に進むと池の畔に出るのだが、そこに設けられているフェンスに隣接して続いているのが、かろうじて自転車２台が並んで走れる程度の道。左手前方に高校の校舎が見え、さながらここは自転車用通学路の設定。若い恋人たちが幸せそうに語り合いながら自転車を漕ぐ、そんな学園ドラマのワンシーンが目に浮かぶようである。