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2015/12号

〓姫路城の穴場〓的存在―城北側の「勢隠曲輪」

(姫路市本町)


紅葉の並木、南勢隠門


姫路神社


搦手口(との四門前)

 「平成の修理」を終え、今年3月にグランドオープンした姫路城。連日、大勢の観光客が来城されているが、意外と知られていない姫路城の〓穴場〓的スポットが今回ご紹介する「勢隠曲輪」。

 勢隠曲輪は姫路城がそびえる城山(姫山・鷺山)の背後の堀と土塁に挟まれた一画で、東側に喜斎門、北側に北勢隠門、南西方向に南勢隠門を開き、城を取り巻くように細長く湾曲している。一般には「姫山公園」と呼ばれ、桜と紅葉の隠れた名所でもあるが、車両の通行ができないために、通学の自転車を走らせる高校生やウォーキングを楽しむ人の姿を見かけるぐらいで、とても閑静な佇まいを見せている。

 城の北側に位置し、鬱蒼と木立が生い茂る姫山原生林に陽射しが遮られるせいか、全体にトーンが暗く、堀の水の色も、あたりを包む空気も深く沈み込んでいるように見える。明るい陽光が降り注ぎ、樹木の手入れも行き届いた正面南側から見る姫路城とは全く異る趣で、ここも同じ姫路城の城内なのかと訝しむほどである。 

 その分、アングルというアングルを使ってしまった感がある〓姫路城ロケ〓の中にあって、その〓手つかず感〓は大きな魅力で、土塁の脇を抜ける道に続く紅葉のトンネルなどは文句なしに絵になる。

 ほかにも大天守の上層階を仰ぎ見ることができる、簡素ながら落ち着きのある池泉式の庭園や、堀の向こうの原生林の陰から白い城郭の一部が覗く構図は、これまでになかった斬新な印象を与え、時代物のワンシーンに取り込みたいところ。姫路城のロケに新境地を開きそうである。

 もちろん実態は公園だけに、藤棚やベンチなどの人工構造物も点在するが、これはこれで姫路城を舞台にした現代物のストーリーに使えるに違いない。

 また、公園の東寄りにある姫路神社は、江戸中期から幕末まで姫路藩主を務めた酒井氏の祖を祭神とする神社で、こじんまりとしているが社殿も社務所も絵になる佇まいを見せおり、かなり時代を遡った設定も可能だろう。

 最後に紹介しておきたいのが「勢隠曲輪」の南側に位置する東三の丸。城内最高の高さ(23.32m)を誇る帯櫓の石垣が正面に映り、その背後に大天守がすっくと立つ様は、姫路城の最も美しいアングルの1つ。その裾野、右手には搦手口の「との四門」があり、ここから「との一門」(二つの門とも現在は閉鎖されている)に至る搦手筋は羽柴秀吉時代の姫路城の面影、どこか山城を思わせる風情を残しており、ファンの多い一画でもある。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

姫路城リの一・リの二渡櫓保存修理工事の見学施設について



 平成27年11月から姫路城リの一・リの二渡櫓で保存修理工事が始まりました。工事現場を見学できる木組デッキを設置し、職人が瓦葺きや漆喰塗を行う様子など、姫路城を守り伝える匠の技を間近で見学できるます。公開は来年の1月7日(木)から公開が開始されます。
 ぜひ、文化財の修復工事と新しく生まれ変わった姫路城の見学にお越し下さい。

■見学用デッキの内容
【公開時期】 平成28年1月7日(木)〜
       平成29年2月頃
【設置場所】 二の丸(お菊井戸付近)
【見学人数】 一度に30名程度が見学可能です。
【規模構造】 木組デッキ(高さ約2m)
※工事の進捗により変更の場合あり

■工事(屋根替部分修理)の概要
【瓦葺き直し】 屋根面積約490平方メートル
  (りの一:約230平方メートル、りの二:約260平方メートル)
【木工事】   野地坂、垂木、瓦桟他部分取替え
【漆喰塗替え】 屋根目地漆喰総塗替え、壁・軒揚げ漆喰部分塗替え
【工事期間】  平成27年11月〜平成29年3月
【お問合せ】  姫路城管理事務所
        TEL 079-285-1146

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