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2015/08号

武家屋敷を彷彿させる築地塀と庭園が連なる「好古園」。

(姫路市本町)




 姫路城の西方に広がる約1万坪(3.5ha)に及ぶ姫路城西御屋敷跡庭園「好古園」。発掘調査によって確認された西御屋敷跡・武家屋敷跡・通路跡などの地割を生かした9つの趣の異なる庭園群で構成されている。

 この「ロケハン案内」で好古園を初めて紹介したのは2002年のことで、その年に早速、時代劇の「暴れん坊将軍」「大奥」「水戸黄門」のロケが行われ、最近では2011年に「るろうに剣心」のロケが行われている。姫路市内では姫路城、書写山圓教寺に次ぐ人気ロケ地で、その魅力を簡単に言うと、撮影に訪れた映画関係者が語った「まるで全体が、緻密で計算され尽くしたオープンセットのようだ」の一言に尽きるだろう。

 たとえば園の入口から正面に向かったところにある「屋敷門」と、そこから西へ、左右に築地塀が連なる道。いかにも大身旗本の屋敷が続く江戸の御屋敷町の風情で、そのあたりの辻から小物を従えた恰幅のいい武家や頭巾をかぶったお女中が出てきそうな現実感があるのである。

 屋敷門を潜り、池泉回遊式庭園の「御屋敷の庭」に面した「潮音斎」に至る渡り廊下も趣がある。中央が緩やかな曲線を描く雅な廊下で、左手は渓谷のようになっていて水が滑り落ち、右手は庭の豊かな緑を映し込んだ大池。武家屋敷を舞台にした時代劇のワンシーンを予め想定したような〓はまり方〓なのである。

 中秋の名月を愛でる方向に建てられたという潮音斎も同様。姫路城の姫山原生林を借景に取り入れ、手前に錦鯉が泳ぐ大池、正面に築山から流れ落ちる滝。間口の広い「観庭台」から見渡すそれらの景色は思いのほか奥行が感じられ、夜の帳の中で、お殿様や奥方たちの月見の宴のシーンが今にも始まりそうな気がするのである。

 このほか、数寄屋造りの粋を凝らした茶室や玄関の庭、広間の庭などが絵になる「茶の庭」、松明垣、桂垣、沼津垣など多彩な種類の竹垣を見ることができる「夏木の庭」、大天守や西の丸の櫓を背に風格ある長屋門がどっしりと構える「松の庭」、姫路城を借景に美しい庭園が伸びやかに広がり、茅葺きの四阿(あずまや)がある「築山池泉の庭」など、どの庭園も大名屋敷や大身の武家の屋敷と捉えることができる。従って「この庭はこの場面に」「こちらの庭はあのシーンに」と使い分けることもでき、コストパフォーマンスの点でも得がたいロケ地と言えるだろう。

 ざっと見てきたが、多彩な種類の竹垣のほか、随所に配置された灯籠や手水鉢、「竹の庭」で目にした釣瓶と井筒などの脇役たちも、いずれもその道の匠が丹精込めたものばかりなのでセットとは違うリアリティを味わうことができる。

 好古園は紅葉の美しさでも知られており、ぜひ多くのロケハンをお待ちしたい。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

姫路藩和船 夏の操船体験会の開催について


 姫路城の堀で和船に乗り、風情のある景色を眺めて船遊びを楽しむ「夏の操船体験会」が開催されます。姫路藩和船建造委員会は、失われようとしている木造和船の建造技術の保存及び伝承のために、木造和船「はりま」を建造し、観光客らを対象として和船の運航を行っています。その和船を参加者自らが操船することができる体験会が、8月26日から28日の3日間開催されます。

 当日は、まずイーグレひめじセミナー室で姫路藩和船や操船道具についての講義が行われ、その後に姫路城武者溜りに移動して和船に乗船。和船を櫂で漕ぐ体験ができます。
 夏の風物詩の一つとして、和船の操作体験会の様子を撮影してみてはいかがでしょう。

実施日時 平成27年8月26日(水)・27日(木)・28日(金) 3日間
(午前の部)午前10時〜正午  講義:午前10時〜 実技:午前11時〜
(午後の部)午後2時〜午後4時 講義:午後2時〜  実技:午後3時〜
※各部10分前に、イーグレひめじセミナー室に集合して下さい。
※講義終了後、和船の櫓漕ぎ体験となります。
場所(講義) イーグレひめじセミナー室 (4階)
(実技) 姫路城武者溜り(好古園東側付近)
※イーグレひめじで講義を受講後、姫路城武者溜りに移動し和船に乗船します。
内容姫路藩和船の解説、操船道具の解説、船上での櫓漕ぎ体験
定員各回定員20人
料金無料
予約事前予約可 ※先着順で定員になり次第受付終了
応募先オクムラボート販売株式会社 電話:079-254-5630
(受付時間:午前8時〜午後5時 月曜〜土曜)
その他悪天候の場合は講義のみとなる可能性があります。予めご了承ください。

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