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2015/03号
〓城下町姫路らしさ〓が味わえる中濠沿いの道
(姫路市坊主町ほか)
3月27日にいよいよグランドオープンする姫路城。大天守の一般公開は5年ぶりとあって、大勢の人出が予想されているが、観光客が訪れることは滅多にないものの、〓城下町姫路らしさ〓という点で、魅力に溢れているのがこの中濠周辺である。よく知られるように姫路城は内濠、中濠、外濠によって内曲輪、中曲輪、外曲輪が螺旋状に縄張りされている。だが明治以後、濠は不要となり、外濠を中心に次々と埋め立てられた。中濠も城の南側部分こそ埋め立てられて国道2号になっているが、大部分は往時の状態を保っている。
まず、国道2号の白鷺橋から北へ、外濠の役目を果たしている船場川に寄り添うように中濠(西部中濠)が続いていく。川と濠の間に散策路、右手は城の石垣である。
やがて市之橋に出て、散策路は「千姫の小径」と呼ばれるようになる。右側に千姫ゆかりの化粧櫓などがある姫路城西の丸、左側前方に千姫が深く信仰した男山天満宮があり、その間を縫って続くことから命名されたものだが、春には桜の花が美しく、船場川沿いには町家風の民家も見られるなど、しっとりとした情緒を味わうことができる。
清水門跡を過ぎたあたりから中濠は表情を変える。原因は対岸にある姫路城の土塁が鬱蒼とした樹林で、その影が水面を覆っているからなのだが、先程までとは違ってどこか陰鬱な感じがする。それがまた映像的魅力を引き出しているのだが、余談ながら大木が生い茂る土塁も人の手がほとんど入っておらず、時代劇のワンシーンに取り込めそうである。
ここから中濠(北部中濠)は城の裏手を東に向かい、野里門跡を越えていく。高層マンションも建つが、古い町家など城下の面影が色濃く残るところで、その背後の土塁との間にひっそりと身を隠すように続く濠の表情も味わい深い。
やがて中濠は右に折れ、南へ下っていく。東部中濠と呼ばれるが、土塁を挟んだ濠の西側には姫路医療センターや、姫路東高校、淳心学院、賢明学院などの文教施設が続き、土塁上の樹林に音が遮られるせいか、一帯は深い静寂と落ち着きに包まれている。
濠に沿って小径が続いており、車も走らず、出会う人とて少ないので、例えば男性と着物姿の女性に濠沿いを歩かせ……といった風に、城下町を彩る恋物語のワンシーンに使いたくなる。それほど情感豊かな雰囲気なのである。
姫路は先の戦争によって市の中心部が戦災に見舞われたので、城下町らしさが感じられないとよく言われるが、唯一といってもいい例外がこの中濠沿い。映像関係者や観光客にぜひ歩いて欲しいコースである。
姫路へ行こう!今月の話題はこれ
「春の姫路城周辺イベント」
平成21(2009)年10月から始まった平成の大修理を終え、約5年半ぶりにその優美な姿を現した世界文化遺産・国宝 姫路城。いよいよ3月27日(金)から大天守の一般公開がスタートします。
今回は、姫路城やその周辺で行われる様々なイベントを紹介します。
ぜひ、春の姫路へお越しください。
○姫路城観光会
播磨の春の風物詩として「日本の桜の 名所100選」にも入っている会場では、100面に及ぶ華麗な琴の演奏や勇壮な和太鼓演奏が繰り広げられます。また、観桜会開催日に限り、動物園が無料となります。
・日時 | 4月4日(土) ※雨天 5日(日) 10:00〜16:00 ・お茶席 10時〜 ・セレモニー・舞台催し 11時〜 |
・場所 | 姫路城三の丸広場 |
・内容 | 100面琴の大演奏、バイオリン演奏、和太鼓演奏、お茶席、地酒・飲食コーナー |
○姫路城夜桜会
姫路城西の丸庭園で「花あかり〜姫路城夜桜会〜」が開催されます。普段は入ることのできない夜の西の丸庭園が特別に無料開放されるほか、桜がライトアップされ、昼間とは違う幻想的な雰囲気を楽しめます。
・日時 | 4月3日(金)〜4月12日(日) 18:00〜21:00 ※雨天中止の場合あり |
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・場所 | 姫路城西の丸庭園 | ||
・内容 | 18:30〜20:00の2回開催(30分)
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観桜会、夜桜会