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2015/02号

異なる3路線の列車を捉える眺めの魅力―冑丘神社

(姫路市西延末)




 姫路市西延末。太平洋戦全国都市空爆死没者慰霊塔を囲むようにして、陸上競技場などのスポーツ施設、水族館などの文化教養施設、遊園地や市民プールなどの遊びの施設が集中し、市民の憩いの場所になっている手柄山中央公園の北側に、気になる小山がある。社殿が建つ山上に向かって石段が伸び、すぐ近くを走るJR神戸線や姫新線の車窓からもよく見えるのだが、この山の名前や由来を知る市民は意外と少ない。

 タネを明かすと、この山は冑山といい、8世紀初頭に編纂された『播磨国風土記』の「餝磨(しかま)の郡」に出てくる十四の丘の1つ「冑丘」に比定されている。遠い昔、現在の姫路市の大半を指す餝磨の郡で、父と子の神が諍いを起こし、その結果、父神が乗る船が難破。あたりに荷物が点々と落ち、それらが流れ着いた丘に荷物にちなんだ名前が付けられたという話で、冑が落ちた丘が冑丘。山頂の神社は「冑丘神社」という。

 神社は天和2年(1682)に、時の姫路城主・本多忠国が姫路城の裏鬼門に当たるこの地に建立したもので、歴代城主の崇敬を集めてきたが、昭和20年7月3日の姫路空襲で社殿は全焼。現在の社殿は昭和41年に再建されたものである。従って、戦前に建立された石灯籠や石鳥居を除けば、社殿や境内に歴史の重みを感じることはできず、ロケ地として使うのには限界があるが、注目したいのが山の麓を走る列車との絡みだ。

 冑山は標高わずか36mで、ネットなどには「兵庫県第2位の低山」などと出てくるが、独立した山塊で、周囲に高層マンションなどがないため四方に視界が抜け、JRの3つの路線が見えるのである。

 南側には最初に紹介した手柄山があるが、少し視線を下げるとJR神戸線の高架橋があり、「トォー、トトトン…」と走行音を響かせて走る普通列車やコンテナを積んだ貨物列車が見える。さらに顎を引くように手前に視線を移すと、踏切の警報音が鳴り響く中、ローカル線らしい1両編成の姫新線のディーゼル車が「ガタン、ゴトン…」と、ゆったりしたリズムを打ちながら走っている。加えて神社の裏手からは新幹線の高架橋が見下ろせ、地の底から唸るような音を響かせながら色も形もさまざまな車両が走り抜けていき、その向こうには新しく白く蘇った姫路城が浮かんでいる……。

 対面する手柄山から見下ろしてみても本当につましい山なのだが、こうして山上から異なる路線の列車を捉える眺めには捨てがたいものがあるのである。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

シネマDAY参加者募集


「シネマDAY」では、平成27年3月27日にグランドオープンする姫路城を祝う企画として、姫路城で初めて撮影に成功したマルチコプターによる空撮映像をスクリーンで初公開するほか、最近ロケ地として人気を集めている好古園で撮影された映画「幕末高校生」の上映会の参加者を募集します。

■日時 
3月15日(日) [1]10:00〜12:00
[2]14:00〜16:00
■場所 姫路文学館 講堂
■内容 姫路城の最新空撮映像のスクリーン初公開
  姫路城西御屋敷跡庭園 好古園で撮影された作品の上映及びロケ秘話の紹介
   ・上映作品 映画「幕末高校生」
■定員 各回230人(抽選)
■参加料 無料
■申込方法 2月26日(木)までに、代表者の氏名、郵便番号、住所、電話番号、参加者全員の氏名(申込み1通につき希望者5名まで)、希望時間帯([1]または[2])と「シネマDay参加希望」を明記し、はがき、ファクスまたは電子メールで申込み。応募者多数の場合は抽選。
■申込先 〒670-0012 姫路市本町68 「姫路フィルムコミッション・シネマDay」係
(〓079-287-3653・Fax079-222-2410・電子メールhfc@himeji-kanko.jp)

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