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2014/07号

無彩色に沈む工場地帯。「乾いた風景」とのザラつく出会い

(姫路市飾磨区)




「乾いた風景」というのが欲しいときがある。単なる視覚や皮膚感覚の上での乾きでなく、〓そこ〓に立ちながら周囲の一切から拒絶されるような、目にし、息を吸い込むだけで胸の奥までザラついてくるような風景。ミステリー、中でも心理サスペンスものに欠かせない、そんな乾ききった風景と出会うのが、鉄鋼関連の工場がひしめくこの一画―地名でいえば姫路市飾磨区中島―である。

 播磨臨海工業地域のほぼ中央に位置する姫路港区(飾磨港区)の沖合に、戦後、海に突き出る形で埋め立てられた広大な一画で、工場用地として計画的に整備された直線的な道路や用水路に沿って鉄鋼関連の工場や倉庫、火力発電所の建屋などが続いていく。

 煤煙のせいか、道路も工場も、それを覆う空気までもがどこか無彩色に沈み、高い塀に沿って錆ついたパイプが連なり、彩りとして植えられたはずの樹木ですら生気がない。空を仰げば高圧線の鉄塔に、港をまたぐ臨海大橋の剥き出しになったコンクリート、何かしらの残土を積み上げた禿山も見える。すべてが殺伐として押し黙り、不意に侵入してきた〓よそ者〓を睨みつけているのである。

 何よりも強烈な印象となったのは、あたりを2時間ほどぶらついても、まったくと言っていいほど人影と出会わないことである。時たますれ違うのは商用のバンやトラックばかりで、人影どころか犬や猫の姿も見かけない。もちろん通勤時間帯にはそれなりの人の出入りもあるのだろうが、人や生き物とまったく出会わないために、不用意に異次元に入り込んでしまったような微かな恐怖感すら覚えてしまうのである。

 時おり海や川、対岸の景色なども顔をのぞかせ、ほっと救われたような気持ちになるが、それとて長続きせず、道をどの方向に取ろうと、またまた無機質な世界に戻ってしまうのである。

 こうした乾いた風景を通して、どのような心象を切り取るのか、そこは映像のプロたちにお任せすることにして、この一帯を支配している、人を押しつぶしてしまうような圧迫感、拒絶感をぜひ体感していただきたいものである。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

「清涼を求めて!!大河ドラマロケ地となった滝を訪ねる…」(姫路市安富町)




 姫路市の北西にある安富町の鹿ヶ壺は、渓谷の岩床が浸食されてできた大小十数個からなる滝壺で兵庫県の名勝にも指定されています。周囲には、食事や休憩ができる鹿ヶ壺山荘やキャンプ場、ログハウスなどが整備されていて別荘やキャンプが楽しめます。

 特に鹿ヶ壺山荘のレストランにある自然薯を使った定食は、田舎ののどかな風景とマッチし人気のメニュー。

 鹿ヶ壺上流には、大河ドラマ「軍師官兵衛」のタイトルバックのロケ地に選ばれた渓谷があり、サスペンスや神秘的な風景の撮影にピッタリ。

 周辺は滝壺から溢れるマイナスイオンに包まれ、心も体もリフレッシュしながら夏のレジャーを楽しめます。この夏、大河ドラマの舞台となった鹿ヶ壺を訪れて見ては?

アクセス姫路市安富町関775 
【車】姫路市内より国道29号線を鳥取方面へ北進約40分、安志交差点で右折後直進約10分、または中国自動車道「山崎IC」から車で約15分。
【バス】「姫路駅」から神姫バスで「グリーンステーション鹿ヶ壺」下車すぐ※日帰りでのバス利用は本数が少ないのでご注意ください。
営業日時火曜日定休、10:00-17:00(食堂)
問い合わせTEL:0790-66-3505

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