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2014/04号

猥雑で活力に満ちた〓昭和〓を彷彿させる「小溝筋界隈」

(姫路市東駅前町)




 姫路市の東隣に位置する高砂市の歴史家・詩人でもあった故加古喜市(筆名・樹一)さんが昭和50年に上梓した詩集『刻』に、姫路市の中心商店街の1つである小溝筋商店街の戦後を映し出した「小溝筋界隈」という一編の詩がある。

 〈うどん屋、カレー屋、鮨屋、てんぷら屋、一膳めし屋、などの密集する、袋路の奥。公衆便所脇の麻雀屋では、はげしくパイのなだれるなか、毛むくじゃらの酔っぱらいが、(中略)まだ闇市気分のぬけきっていない、姫路小溝の小路の、この熟れ柿色の旺んな落陽。はるか北の空には、あの紋切り型の城がーーこれも茜色に染まって、切り紙細工さながら、寒天にへばりついているのが見える。〉

 ざっとこんな内容だが、〓昭和〓の雰囲気が、今も詩の舞台となった小溝筋界隈、現在の駅前おみぞ商店街周辺にごく一部残っている。

 1つは平成15年度のNHKドラマ「菊亭八百善の人々」のロケ地となった、〈うどん屋、カレー屋、鮨屋、てんぷら屋、一膳めし屋、などの密集する……〉という商店街の通りと十二所線(西行き国道2号)が交わる一画で、主のいなくなった店に残る「勤労スタンド」の文字など、どこかレトロで猥雑で、ヴァイタリティが剥き出しになった〓昭和〓の匂いがこもっている。もちろん、今はどの店も営業をしておらず、あの時代を描くためには八百善のロケ時のように店の表に提灯を吊るすなど小道具による装飾が必要になってくるし、アングルも限られるが、駅前に近い中心部にありながら再開発の手が及んでいない貴重な場所だといえる。

 同じく商店街の通りを挟んで対面に位置する、鍵型に通り抜けになった路地も〓昭和〓の匂いが色濃い。以前は姫路っ子なら誰でも知るお好み焼き屋さんや、とにかく「美味しくて安く飲める」と評判の酒場などがあって、独特の味わいを残していた。店はかなり代替わりしたが、ギター流しのお兄さんがそのあたりの店から暖簾をくぐって出てきそうな雰囲気を今も残している。

 ほかにも駅前周辺には飲食店などが軒を連ねる「路地」あるいは「小路」と呼びたい通りが何ヶ所かあるので、映像関係者に限らず多くの旅人に、〓昭和〓と会うべく姫路のまちを訪れていただきたい。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

姫路城「西の丸」展示がリニューアル!!




 姫路城・西の丸庭園にある櫓群内の展示がリニューアルされました。従来の展示からは一新され、歴代城主や防御の仕組み、千姫の姫路城での暮らしぶりなどを紹介しています。
西の丸の百間廊下を歩きながら姫路城の歴史や当時の暮らしぶりを体感ください。

1 場所
姫路城・西の丸櫓群内
 
展示内容
 西の丸櫓群内を以下のとおり、3つのゾーンニングとそれぞれのテーマ設定をい、展示内容の一新を図ります。
(1) 「歴代城主と姫路城ゾーン」(レの渡櫓)
 姫路城の歴史を、歴代の城主ごとに築城から改築・改修、そして現在に至るまで、 建築構造などの変化にも着目し、城主それぞれの家紋を施した瓦などの資料や解説をもとにたどります。
(2) 「西の丸建物ゾーン」(タの渡櫓、ルの櫓、ヨの渡櫓)
 防御の仕組み(石落としや狭間など)や伝統技術(左官、石垣、瓦、漆喰など)の解説のほか、子どもたちを対象に、木組みや石垣の立体パズルや、瓦のフロッタージュ(拓本)を体験できる体験展示の充実を図ります。
(3) 「千姫ゾーン」(ヌの櫓、カの櫓、化粧櫓)
 姫路城での千姫の暮らしぶりや本多忠刻(ただとき)との仲睦まじい夫婦物語を紹介します。二人になったつもりで記念撮影のできるコーナーを設置するほか、千姫のエピソードを通して当時の姫路城も紹介します。
 
3 料金
入城料が必要です。
姫路城入城料 大人(高校生以上):400円
小人(5歳以上中学3年生まで):100円
※5歳未満は無料
※その他団体割引、大河ドラマ館・好古園等との共通券有り。

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