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2014/01号
一挙にタイムスリップ。旧塩務局網干出張所の庁舎と倉庫
(姫路市網干区)
姫路市の南西部に位置し、海沿いの歴史豊かな町として発展してきた網干(あぼし)地区。古くから廻船業や漁業、塩業などで栄えたが、先の戦争でも空襲の被害を受けなかったため、由緒ある寺社仏閣や古い街並みが数多く残り、これまでも何度かこのロケハン案内で紹介してきたが、今回取り上げるのは旧大蔵省赤穂塩務局網干出張所だった建物。網干の塩田は江戸時代後期に龍野藩主の命により開発が進み、昭和35年に廃止となるまで続いたが、明治38年の塩専売法の施行に伴って赤穂に日本最古の塩務局庁舎が設立され、続いて明治末から大正初年頃に網干出張所が設けられたという。
現在は東京電機工業株式会社の所有になっているが、外観も内部も当時の面影をとどめ、経済通産省の近代化産業遺産にも認定されている。
いかめしい門構えの中に足を踏み入れたとたん、一挙にタイムスリップしたようで、現在は社屋として用いられている出張所の旧庁舎は木造平屋建てで、中央を寄棟造り、桟瓦葺きにし、切妻造りの玄関を張り出している。柔らかい水色のペンキに塗り込められた下見板張りの外壁を巡らせた外観はレトロ感たっぷりで、屋根に設けられたドーマー窓、玄関入口の赤く塗られた銅板葺きの庇やペンダント状の飾りなども〓ハイカラ〓そのもの。
入口の上がり框というか踏み石にも1枚ものの石材が用いられており、財力を誇った旧大蔵省の建物ならではの贅沢さが感じられる。
社長室や事務室になっている建物内部は若干手を加えられているが、天井も高く、木枠の上げ下げ窓もそのまま残されている。せっかく古い建物を見つけても、窓枠はアルミサッシになっているというケースが多いだけに、より〓値打ちもん〓という気がしてくる。事務室右手には、職員の宿直室か何かだったのだろうと思える畳敷きの部屋が数室続き、トイレへと至る渡り廊下も細部の意匠まで凝っており、なかなかの味わい。ついでながらトイレも便器こそ新しいものの、ドアも窓枠も換気口もすべて木製で、かつての〓便所〓の趣そのままを残している。
敷地内に残る数棟の倉庫にも味わいがある。恐らく塩を収蔵していたのだろうが、装飾性の強い旧庁舎と違って下見板を巡らせた武骨な外観の木造平屋建てで、横に長く、開口部も木の外枠に覆われている。屋根の荷重を支える内部の小屋組みも太い梁と束を用いていて、全体に暗いが、いかにも倉庫らしい実用的な造りになっている。
そのほか、敷地内にはクスノキやイチョウの大木が茂り、社屋や倉庫との全体的なバランスも絶妙。東側と南側には今風の建物も写りこまないので、アングル的にも余裕が生まれ、明治から戦前にかけての役所や企業の事務所・倉庫として使えそうである。
姫路へ行こう!今月の話題はこれ
ひめじの黒田官兵衛 大河ドラマ館と歴史館がいよいよオープン!!
姫路生まれの天才軍師・黒田官兵衛を主人公とする大河ドラマ「軍師官兵衛」の放送に合わせて、「ひめじの官兵衛 大河ドラマ館」と「官兵衛の歴史館」がオープンします。
激動の戦国時代を生き抜く官兵衛の魅力をお楽しみ下さい。
● | ひめじの官兵衛 大河ドラマ館 | ||||||||||||||||
1. | 期 間 | 26年1月12日〜27年1月10日 | |||||||||||||||
2. | 場 所 | 家老屋敷跡公園内 | |||||||||||||||
3. | 展示内容 | ||||||||||||||||
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● | 官兵衛の歴史館 | ||||||||
1. | 期 間 | 26年1月1日〜27年1月10日 | |||||||
2. | 場 所 | 姫路城リの一渡櫓(姫路城有料エリア内) | |||||||
3. | 展示内容 | ||||||||
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