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2012/10号

豊かな風情――姫路市に残るもう1つの城下町・林田

(姫路市林田町)




 姫路市の北西部、揖保川の支流・林田川沿いに開けた林田町。江戸時代には建部家1万石の城下町として栄えたところだけに、豊かな歴史・文化遺産が見られ、「ロケハン案内」でも03年9月号で祝田神社と西池(鴨池)を、10年5月号で大庄屋三木家住宅を取り上げた。

 今回紹介するのは同町の六九谷(むくだに)地区。酒造メーカーの工場があることで知られるが、古くは因幡街道の要衝として賑わい、通りには今も往時を偲ばせる古い町家が点在している。
 その旧街道を北に上ると、小学校の先の山裾に林田八幡神社が鎮座している。寛平5年(893)の創建と伝えられ、山門から本殿に向かって石畳が一直線に続き、由緒ある神社にふさわしい清冽さにあふれている。板壁の傷みが激しくなっているが、享保や文政など古い時代に奉納された絵馬がかかる絵馬堂もなかなかの味わいで、本殿との間を形づくる空間も落ち着いた絵になり、時代劇ドラマにも対応できるかもしれない。

 そこから南西へ、国道29号から少し山際に入ったところに道林寺がある。閑静な佇まいの中に簡素な木の門と鐘楼があり、山里の庵のような雰囲気。そこから進むと脇戸のついた本格的な山門があり、漆喰が剥げかかった土塀が続く石段を登って行くと右手に古寂びた本堂が現れる。今でこそ寺の規模は小さくなっているようだが、堂塔が建っていたのではと思しき平坦な一画も残り、かつては真言宗の修行道場だったというのも頷ける。緑の木立に包まれた境内には宝篋印塔や石灯籠も数多く見られ、その深い味わいは「わび・さび」という言葉がぴったり。国道からわずか数分のところにこれほどの雰囲気が残っているのが奇跡のように思える。

 そこから南へ、城下町林田の中心地に向かう。ここには藩の陣屋跡も残るが、見逃せないのが藩校・敬業館。寛政6年(1794)に時の藩主建部政賢が開設したもので、幕末の詩人・儒学者の河野鉄兜が教授を務めたことでも知られる。今は講堂が残るだけだが、正面の式台玄関に老中松平定信が書いた「敬業館」の額が掲げられ、襖で仕切られた内部は畳敷きで、平机が置かれ、藩校時代の講義風景が再現できそうだ。兵庫県下に残る唯一の藩校の遺構で、市指定文化財だが、現在も地域の様々な行事に利用されており、ロケにも支障はない。

姫路へ行こう!

今月の話題はこれ



大河ドラマ「軍師官兵衛」決定記念! 黒田官兵衛ツアーのご案内
姫路城で生まれ、稀代の軍師として羽柴秀吉を補佐した黒田官兵衛。平成26年(2014年)の大河ドラマに黒田官兵衛が決定したことを記念して、官兵衛のゆかりの地を巡るツアーを実施します。今回は、黒田官兵衛に造詣の深い、富士本健先生に同乗していただき、解説をしていただきます。黒田官兵衛について詳しく知る良い機会ですので是非ご参加ください。
  1. 日程 平成24年11月28日(水)、12月5日(水)
  2. 行程 廣峯神社(黒田家ゆかりの神社) ⇒ 御着城跡(官兵衛が仕えた西播磨最大の領主小寺氏の本城跡) ⇒ 国府山城跡(秀吉に姫路城を明け渡した官兵衛が移り住んだ城跡を車窓から見学) ⇒ 灘菊酒造(昼食) ⇒ 姫路城・天空の白鷺(秀吉の中国攻めの拠点にと秀吉に姫路城を明け渡し天下取りの足がかりとした) ⇒ 姫路文学館(戦国時代の官兵衛の活躍を描いた「播磨灘物語」。司馬遼太郎記念室へご案内) 
  3. 集合場所・時間 JR姫路駅南バスターミナル 9時30分
  4. 参加費 5,000円(食事代・保険料等含む、子供500円引き)
  5. 締切 各催行日の前日まで
  6. 申込方法 神姫バスで電話にて受付(先着順)
銀の馬車道沿線 ロケ地ツアーのご案内
 銀の馬車道沿線(姫路市、福崎町、市川町、神河町、朝来市)にある映画・ドラマのロケ地をめぐる3回シリーズの日帰りバスツアー!ロケ地で撮影秘話を聞いたり、沿線のグルメ・観光が楽しめます。 
第2弾「砥峰高原竹田城跡編」(10月23日・24日・25日)
第3弾「姫路・書写山編」(11月20日・21日・27日・28日)

※それぞれ旅行代金及び発着場所は異なります。
※詳しくは、http://www.gin-basha.jp/news/2012rokechibus.pdf

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