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2012/04号

静ひつな山中にたたずむ趣ある堂塔(どうとう)や庫裏(くり)。犬寺伝説で知られる「法楽寺」 

(神崎郡神河町)




 今月も先月に引き続き神河町のロケ好適地を紹介したい。

 福本藩の陣屋跡から西へ、国道312号を渡っていくと常夜燈があり、南北にかつての但馬街道―明治初期に生野鉱山の銀を姫路の飾磨津まで運ぶために整備された「銀の馬車道」―が走っている。

 この道がなかなかの趣で、北に上っていくと江戸期の宿場であった「粟賀宿」の古い街並みも残っている。とりわけ圧巻なのが漆喰壁に虫籠(むしかご)のように目を細かく組んだ格子をはめた虫籠窓(むしこまど)、大きな屋根に煙出しを設けた造り酒屋。前に旧信用金庫の鉄筋の建物などがあって、かなり絞り込まなければ絵にならないが、どっしりとした風格は捨てがたい。

 そこからさらに北に上り、越知川を渡ると右手に「播州の犬寺伝説」で知られる法楽寺への参道が伸びている。
 この犬寺伝説というのは、大化の改新の前に、家来にだまし討ちに遭おうとしたところを2匹の愛犬に救われた枚夫(まいふ)長者という豪族が、愛犬が死ぬに及んで全財産を投じて伽藍を建立。千手観世音菩薩を本尊として冥福を祈ったという話で、その歴史は飛鳥時代から始まるというのだからスケールが大きい。

 参道の先に駐車場があり、そこから石灯籠が両側に並ぶ道を歩いていくと世間の喧騒から隔離されたような静ひつな境内で、石垣を積んだ一段高みに、開山堂、本堂、鐘楼(しょうろう)、庫裏、朱印倉などが品よく建ち並んでいる。

 とりわけ、どっしりとした落ち着きにあふれているのが、小さな門越しに望める文政2年(1819)の建立という入母屋造りの庫裏。広い前栽(前庭)があり、どこか大庄屋の住まいという雰囲気。庫裏は道に沿って高く積まれた石垣の上に、漆喰の塀に囲まれてあるのだが、この石垣を取り込んだ道も時代劇に使えそうである。

 もう1つ、感嘆に値するのが越知川のほとりに立つ山門(仁王門)から本堂にまっすぐ伸びる251段もの石段。安政3年(1856)に造立されたもので、両側には樹齢300年以上と目されている檜が群生しており、身の引き締まる雰囲気が漂っている。残念ながら金属製の手すりが設けられており、江戸時代へのタイムトリップは無理だが、何かしらの絵にはなりそうである。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

春の行楽シーズンに新緑と貴重な文化財を満喫できるイベント「書写山新緑まつり」が開催されます。また、同時開催の参加型体験イベントとして『2012アートキャンプ「陶芸教室」』が書写の里・美術館で開催されます。



○ 書写山新緑まつり
日 時5月3日(木・祝)〜6日(日)10:00〜16:00
場 所書写山周辺
内 容書写山円教寺大講堂、常行堂、本多家廟所内部公開・開山堂等の文化財を特別
公開(文化財保護のため、雨天時は中止の場合あり)。拝観志納金500円が必要
○ 2012アートキャンプ「陶芸教室」
日 時5月5日(土・祝)
 〓10:00〜12:00 (小雨決行)
 〓13:00〜15:00
会 場竹林工房芝生広場
内 容ねんどをこねて茶碗やカップ、皿など自由作成(講師:夢工房陶冶のみなさん)
定 員当日先着順で午前午後各50人
参加費1,000円
その他事前申込み不要
当日〓〓の時刻に集合

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