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2011/10号

想像力をかき立てる「古(いにしえ)」と「現在(いま)」の混在

(姫路市野里地区)




 姫路城の北東に位置する野里地区。池田輝政が現在の姫路城を築城する以前に三層の天守を持つ城を築き、姫路の地を治めた羽柴秀吉が城下町として整備にあたったとも伝えられる古い歴史を持つ。

 明治以降も姫路に陸軍第十師団が駐留。野里の北にも城北練兵場など軍の施設が置かれたため、一帯は商業地としても大いににぎわい、戦災を免れたこともあって今も南北に走る旧野里街道に沿って古い町並みや町家の遺構が点在している。

 瓦葺きの屋根、漆喰壁に虫籠窓(むしこまど)、格子戸といった構えが多いが、さらに時代的には少し古い厨子(つし)二階(中二階。二階部分が物置になっている)の民家も少なくなく、商家の趣を残す家もそこかしこに見られる。中には近年修復の手が加えられ、姫路市都市景観重要建築物に指定されている建物もあり、屋内には通り庭などもあり、町家の佇まいを今に伝えている。

 商店街に架かるアーチや街路灯などもレトロそのもので、今の我々には「コバタ」としか読めない戦前の表記が残るタバコ屋さん、「パーマ屋さん」という言葉がぴったりくるドアも窓も木枠の美容院、さらに北へかつての遊郭跡に行けば白粉の匂いが漂ってきそうな、いかにもそれらしい建物なども残り、懐かしい雰囲気を醸し出している。

 ただし、一帯がすべてレトロ一色に染まっているかといえば、そうではなく、重たげな本瓦屋根の向こうに高層マンションがそびえ立っていたり、古い民家と民家の間にハウスメーカーのカタログから抜け出したような超モダンな家が顔をのぞかせたりもする。ミスマッチといえばミスマッチだが、それを逆手にとってみるのも面白いのではないだろうか。

 たとえば、時代遅れの古い民家に住む元ヤクザの老人と現代的なマンションに住む小さな女の子のほのぼのとした交流、何を思ったか遊郭跡の建物に引っ越してきた女子大生が周囲の人たちと巻き起こす小さな物語などなど、界隈を歩いているだけで乏しい想像力をかき立てる何かがここにはある。有川浩の小説『阪急電車』では、主人公を引き寄せる庶民的な町として小林駅の駅前が登場するが、そうした切り口で登場させても面白い気がする。

 最後にもう一つ紹介しておきたいのが野里の一画にある慶雲寺。池田輝政が姫路城築城の際の木材を寄進して本堂が再建されたという古刹で、境内に井原西鶴の『好色五人女』などで知られるお夏・清十郎の霊を祀る比翼塚がある。寺の南側に位置する光正寺(慶雲寺観音堂)にあったものを戦後に移したものだが、光正寺には「お夏清十郎物」を演じた関係だろうか、「實川○○」「嵐○○」などと刻まれた江戸末期の歌舞伎、浄瑠璃関係者が寄進した玉垣も残っている。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

「B〓1グランプリ in HIMEJI」



 「B級ご当地グルメ」とは、地域独特のご当地グルメのうち、味はA級、値段はB級で、安くて美味しくて地元に愛されているグルメのことで、「B〓1グランプリ」とは、料理を提供することを通じて、まちを大いにPRして、活性化に繋げていくことを目的とした「まちおこし活動の日本一を競う」イベントです。そのB〓1グランプリが今年は、姫路で開催されます。

 開催日は11月12日(土)・13日(日)の2日間で、会場は、姫路城周辺です。

 今回開催する「B〓1グランプリ in HIMEJI」は、近畿・中国・四国地方を通じて初の大会となり、過去最多の総数63団体が出展します。

  過去の大会でゴールドを受賞しました「富士宮やきそば」「厚木シロコロ・ホルモン」「横手やきそば」「甲府鳥もつ煮」も出展されます。

 姫路のB級ご当地グルメといえば「姫路おでん」です。姫路おでんとは、おでんにしょうが醤油を掛ける独特の食べ方です。ぜひ一度食べてみてください。

 会場内での料理の購入はチケット(金券)制です。価格は1,000円(100円券10枚つづり・料理価格は300〜500円程度)となっています。チケットの店舗での販売開始は10月17日(月)からです。

 詳しくは、ホームページをご覧ください。http://www.b1-himeji.jp/index.html

 なお、大会の開催に伴い、交通規制が実施されます。当日は、渋滞の発生が予想されますので、マイカーは自粛して、会場へは、公共交通機関のご利用をお願いします。

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