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2011/08号

現在と過去の不思議な混在。川を挟んで展開する工場群と美しい松林

(高砂市高砂町)




 姫路市の東に隣接する高砂市。江戸時代には姫路藩領で、市の中心を成す高砂町は姫路藩初代藩主の池田輝政が礎を築き、その後藩主となった本多忠政が町を整備し、瀬戸内海でも有数の港町になったという歴史を持つ。

 明治後期に入ってからは三菱製紙や鐘淵化学工業(現カネカ)などの工場が進出。高砂の町は工業都市に変貌したが、現在でも当時の隆盛を偲ばせる異人館風の洋館や「昭和」の匂いが色濃いレトロな建物も数多く残り、豊かな風情を醸し出している。

 このあたりについてはメルマガ2007年12月号でも紹介しているが、今回取り上げるのは町の東側を流れる堀川と、河口の高砂港およびその対岸にある高砂海浜公園。

 堀川は江戸初期の町づくりの際に加古川の流路を変えて町に引き込んだもので、これにより高砂は海上・河川交通の要路として発展したのだが、現在は漁港に姿を変え、川に沿って多くの漁船が停泊している。周辺には重たげな瓦屋根の古い町家や蔵が見られ、絵になる雰囲気を醸し出している。

 その堀川も河口が近づくにつれ、工業港湾の趣を色濃くする。2009年2月号で紹介した姫路市の中心部を流れる船場川河口とも共通するが、河岸をカネカ高砂工場のプラントがぎっしりと埋め尽くし、縦横に走るパイプ群が硬く乾いた表情を見せている。さらにその先には砂や土砂が小山のようになった野積場があり、大型の重機がうなりをあげて土砂を運搬している。人を寄せつけない、どこか殺伐とした光景で、「現代(いま)」を切り取るドラマのワンシーンに取り込みたい一画である。

 ところが対岸の高砂海浜公園に移ると、打って変わって古くから「白砂青松」の地として知られた高砂を彷彿とさせる松林が広がっている。多くは近年植栽されたもので、樹高もそう高くはないが、河岸には海水浴場として賑わった戦前からのものなのだろう、樹齢を重ねた見事な松林が続いている。

 公園は「日本の白砂青松100選」にも選ばれており、松林に囲まれるように小さな砂浜が広がり、この時期、水遊びをする親子連れでにぎわっている。一帯にはベンチやトイレなどの人工構造物が設けられているので、歴史ドラマには少々無理があるが、夕陽を浴びた松林は映像的にも魅力があるし、松林を背景に長い髪を潮風になびかせるヒロインを立たせたいところだ。

 さらに付け加えると、公園の東側には一級河川の加古川が流れており、ワンドには美しいヨシ原が広がる。秋が深まる頃には淡い茶色に色を変えていっそう美しさを増し、加古川の秋の風物詩になっている。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

「姫路市立水族館・リニューアルオープン」




 姫路市立水族館は、昭和41年に開館し国内では珍しい山頂付近にあるため、山の上の水族館として姫路市民などに親しまれてきましたが、施設の老朽化等により耐震工事が必要となったため、平成20年11月から一時休館していました。平成23年7月2日に、耐震工事と施設の拡張工事を終え、リニューアルオープンしました。

 館内には、瀬戸内海の魚を主体とした「播磨灘大水槽」が新設され、播磨灘をイメージしたカキの養殖いかだ等を浮かべ、いかだの周りを群れ泳ぐ魚たちを見ることができます。新ウミガメ水槽には、ウミガメが産卵可能な広さの砂場が設けられ、産卵に挑戦されています。屋外には、子供が遊べるじゃぶじゃぶ小川や昔ながらのため池も再現されています。五感で感じる体験型展示が充実していますので、ぜひ、新しくなった「山の上の水族館」へお越し下さい。

○開館時間:午前9時〜午後5時(入館は、午後4時30分まで)
○入館料:大人500円 小・中学生200円
○休館日:火曜日・12/29〜1/1
○詳しくは、ホームページをご覧ください。http://www.city.himeji.lg.jp/aqua/

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