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2011/04号

特攻隊の悲話を今に伝える「昭和」が色濃く残る木造駅舎

(加西市)




 JR加古川線の粟生駅から、第三セクターの北条鉄道が加西市の北条町駅まで走っている。そもそもは大正4年に開業した播州鉄道の支線で、その後国鉄北条線となったが、路線の廃止を受けて昭和60年から北条鉄道として再スタートを切った。

 のどかな田園地帯を走る単線の鉄道で、枕木の上を列車が走り、ところどころに木の電柱も残っている。総じて「昭和」の匂いが色濃いローカル線で、その面影を残した駅舎も少なくなく、昭和を舞台にした駅舎や鉄路を取り込みたい時には格好のロケ地になるだろう。

 とりわけオススメなのが「法華口駅」。焼き板に白漆喰の壁を巡らせた瓦屋根の木造駅舎で、梁や屋根組が剥き出しになった待合室、板屋根を大きく張り出したホーム、駅舎の脇の汲み取り式の便所にも深い味わいがある。

 また駅舎の前と、今は使われていない土を盛っただけのホームには桜の老木が枝を伸ばし、一幅の絵となるので、春にはカメラを手にしたアマチュアカメラマンたちの姿が多く見られる。

 この法華口駅には戦争に伴う1つのエピソードが隠されている。太平洋戦争のさなかの昭和18年に、駅から北東2.4キロに海軍鶉野(うずらの)飛行場が設けられ、姫路海軍航空隊が開設された。さらに飛行場の隣には川西航空機姫路製作所鶉野工場が設立され「紫電」「紫電改」など500機余りの戦闘機が組み立てられた。

 当時、航空隊には全国から約320名の若者が集められ、ここで飛行訓練を行い、その後各地の航空隊へと散っていったが、昭和20年には練習生による神風特攻隊「白鷺隊」が編成され、終戦までに63名の尊い命が失われた。

 この法華口駅はそうした歴史を、待合室やホームで展開される悲喜こもごものドラマを見つめてきたわけで、ホームに佇んでいると、満開の桜の下、前線基地へと向かう若者たちとそれを見送る者たちの日の丸の小旗が今にも目に浮かんできそうな気がする。

 駅舎の入口に自動販売機と電話ボックスがあり、北条鉄道の車両もまた現代風という難点もあるが、それさえクリアできれば、様々な「昭和のドラマ」が描けるに違いない。

 法華口から下りで1駅の「播磨下里駅」も同じく木造の古びた駅舎だが、ホームの前に真新しい民家が建っており、アングルが限られるという問題が残る。となると、やはり法華口駅で、ぜひ一度ロケハンをオススメしたい。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

姫路フィルムコミッション設立10周年記念「トーク&シネマ」開催!


 姫路フィルムコミッションは、平成13年9月に設立され、今年で10年が経ちます。それを記念しまして、イベントを開催します。

 5月6日(金)18時30分より、イーグレひめじ(姫路市本町68番地290)3階あいめっせホールにおいて、映画の上映とゲストによるトークをお楽しみいただく「トーク&シネマ」を開催します。

 内容は、姫路ゆかりの映画監督でひめじ観光大使も務めている秋原正俊さんが、姫路をメインロケ地として撮影した映画「斜陽」に続く、姫路ロケ第2弾として映画「ルパンの奇巌城」を撮影しました。

 全国各地での公開に先駆けて、上映するとともに、ゲストの女優・岩田さゆりさんと監督・秋原正俊さんによる、撮影のエピソードなどのお話もお楽しみ下さい。

 参加料は無料で、定員は280名です。応募については、姫路フィルムコミッションのホームページ【http://www.city.himeji.lg.jp/fc】をご覧ください。締切りは4月18日(月)必着となっています。応募者多数の場合は抽選となりますのでご了承ください。

トーク&シネマ 参加者募集

talk_and_cinema.pdf

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