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2010/08号
名峰・明神山の麓に広がる農業公園と伝説に彩られた古社
(姫路市夢前町)
2006年(平成18年)に姫路市と合併した旧飾磨郡夢前町。夢前川に沿って南北に広がる「緑と清流と温泉のまち」で、豊かな自然を中心とした映像的魅力にあふれているだけでなく、古い歴史を有し、ことに中世において播磨国など3国の守護であった赤松氏が居城・置塩城を築き、その本拠としたため城跡や神社仏閣など歴史的文化遺産も少なくない。以前にもこのロケハン案内で日本三彦山の1つ雪彦山や、江戸時代の豪農の屋敷跡である佐野邸などを紹介してきたが、今回は夢前町の中心部である前之庄周辺に位置する3カ所のロケ好適地を紹介したい。
まず、姫路市夢前事務所にほど近い「天神社」。小・中学校のすぐ北側の小高い丘の上に鎮座する神社で、周囲を“天神の森”と呼ばれる木立が取り囲んでいる。
特に麓から神門に続く長い石段が印象的で、古寂びた神門から大木が林立する石段側を俯瞰する構図はなかなか絵になるし、境内にある享保年間の建立と伝えられる袴腰付鐘楼にも趣がある。
この天神社よりさらに趣があるのが、西方約3キロにある「神種神元(このくさかみのもと)神社」。“播磨富士”とも“播磨槍”とも呼ばれる名峰・明神山への登山口にある古社で、創建は雄略天皇の御代とも天平時代ともいわれ、明神山に光り輝く光を見た村人が山に登ると、白いヒゲの老人が現れ、「白幣の三神を祀れば久しく幸である」とのお告げを受けてお祀りしたとの伝説が残っている。
神門、拝殿、本殿ともに再建されてからかなり時代を経ていると見え、周囲は本殿右側の樹齢およそ350年と推定されている大杉をはじめ鬱蒼と生い茂る木立。一帯は森閑と静まり返っており、明神山の山頂に祀られていたという嶽大明神も鎮座し、現代風の人工構造物もないので江戸時代の農山村の氏神といった想定もできるだろう。
その神種神元神社の西方にあるのが「夢さき夢のさと農業公園」。こちらは一転して“現代”を映し出すアウトドア施設で、広大な園内には体験農園やコテージ村、バーベキュー広場などが整備され、渓流での水遊びも楽しめる。
また、園内にある施設のレストラン「夢やかた」では、地元産の“夢そば”や地鶏料理を味わうことができ、美しい稜線を描く明神山が手に取るように見える。
いずれにせよ平成の大合併によって姫路市内のロケ好適地はますます広がりを見せており、多彩な表情を捉えにぜひロケハンにお越しいただきたい。
姫路へ行こう!今月の話題はこれ
「ひめじ田宴アート」
田宴アートとは、種類の異なる稲の穂を使って、田んぼに絵を描き出すものです。
2008年より始まった「ひめじ田宴アート」は、書写山・ロープウェイから全景が見渡せる姫路市夢前町玉田地区の約1.6ha(横180メートル・縦90メートル)の田んぼをキャンバスに姫路城のイラストを描いています。
今年のデザインは、姫路工業高校デザイン科の生徒のものが選出され、テーマは「姫路城と鎧(よろい)」で、6月21・22日に田植えを終了しました。
季節によって色合い変わる日本最大級の田宴アート、ぜひ見に来てください。
■見ごろ 10月中旬まで
■場所 姫路市夢前町玉田地区
(書写山ロープウェイ・書写山圓教寺仁王門付近より眺望できます)
詳しくは、下記サイトをご覧下さい。
http://www.himeji-denen-art.jp/