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2010/02号
石の宝殿から観濤処へ、切り立つスリル満点の尾根道
(高砂市阿弥陀町)
JR神戸線「宝殿」駅の西方に見える岩山の中腹に生石(おうしこ)神社がある。2006年3月の「ロケハン案内」でも紹介したが、この神社のご神体が日本三奇の1つに数えられる「石の宝殿」で、神社に入ると家が横倒しになったような格好の巨大な石の塊が姿を表す。いつ、誰が、何の目的で彫ったのかは謎だが、家型石棺とする説が有力で、奈良時代の初めに編まれた『播磨国風土記』は聖徳太子の世に蘇我氏と争った物部守屋が造ったと伝えている。その石の宝殿の背後にある岩山が宝殿山(伊保山)で、標高60mの小さな山だが、山頂付近が露出した岩肌に覆い尽くされ、不思議な味わいを見せている。
もう1つ、生石神社の南側にこれまた巨大な石切場(採石場)がある。特産である竜山石(たつやまいし)の石切場で、数十メートルもの高さから真っ直ぐ、ほぼ直線に山塊が切り落とされ、断崖絶壁が屏風のように、かつまたモザイク状に連なっている。ただそこを風が吹き抜けるだけ、とでも称したいような荒涼感、寂寞感が漂う現場で、心の、時代の「乾き」が底流に流れているようなドラマのロケ地としては現代物、時代物を問わず「使える場所」だと言えるだろう。
今回、特に強調したかったのは、生石神社への参道の途中から、石切場の上を通って観濤処(かんとうしょ)と呼ばれる歴史スポットに向かう尾根伝いの道。観濤処とは、その名の通り「波が見える眺望の地」で、今も播磨灘を遙かに一望することができるが、天保年間に早世した姫路藩の儒学者、永根文峰が書いた「観濤処」の文字を家老の河合寸翁が刻ませた大きな岩が残っていることで知られている。
その観濤処に続く細い尾根道は、登るにつれ数十メートル下に広がる石切場が大きく口を開けて待ち受けているような感じになり、落ちはしないかと次第に背筋が冷たくなってくる。特に後半の数メートルは左右が切り立った石切場となり、その間の道幅はわずか1メートル程。ガードレールはもちろん落下防止用の紐なども渡ってなく、高所が苦手な私などは下を見るだけで思わず足がすくんでしまい、少しでも風があれば歩く自信がない。つまりそれだけスリルやサスペンスが求められるドラマには打ってつけの場所だということで、画面を通して手に汗するシーンが描けるだろう。
しかも車を停めてからこの地点までわずか徒歩5分。その利便性の高さも捨てがたい。くれぐれも足元に注意してのロケハンをお勧めしたい。
姫路へ行こう!今月の話題はこれ
「さくらの大回廊」
寒い日が続いていますが、そろそろ春の足音が近づいてきました。春といえば桜ですね。
世界遺産・姫路城では、春になるとソメイヨシノやヤマザクラ、シダレザクラなどさまざまな桜が咲き誇ります。「日本さくら名所100選」の一つに数えられていますので、姫路城の桜は有名ですが、姫路城周辺にも桜を楽しめる場所があります。ゆったりと姫路城さくらの大回廊を春の日差しを浴びながら散策に出かけてみてはいかがでしょうか。
例年、桜の時期、姫路城へは、観光客や花見客の方が非常に多いのですが、今年は特に、姫路城大天守保存修理工事が本格的に始まる前に、姫路城を見学しておこうとする方が、大勢来られることが予想されています。姫路城や姫路城周辺では、大変混雑な状況が起こりますので、ご了承ください。姫路城へお越しの際は、時間に余裕を持っていただき、出来るだけ公共交通機関のご利用をお願いします。