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2009/09号

黒田官兵衛の合戦の地、中世の城下町&寺内町「英賀」

(姫路市飾磨区)




 姫路市が羽柴秀吉の天下取りを支えた稀代の軍師、黒田官兵衛(如水)の出身地であり、官兵衛を主人公にしたNHK大河ドラマの誘致活動が始まっていることはすでに触れたが、今回紹介する「英賀」も官兵衛ゆかりの地の1つである。

 英賀は市の南西部に位置し、今は住宅街になっているが、中世には東は夢前川、西は水尾川、北は湿田、南は内海に囲まれた水城が築かれ、城主一族の7つの館が建ち、浄土真宗の英賀本徳寺(英賀御堂)を中心に寺内町、商業の町としても栄えたところである。

 英賀城主の三木氏をはじめ配下の武士や領民(英賀衆)は浄土真宗の熱心な信者(門徒)で、織田信長が浄土真宗の拠点である大坂の石山本願寺を攻めた際も本願寺に加勢し、織田軍と戦った。さらに信長の命を受けた羽柴秀吉が、本願寺と同盟する中国の毛利氏を討つために播磨入りした際もこれに抵抗し、激しい攻防戦を繰り広げた。

 結論から言うと、秀吉軍の猛攻の前に英賀衆が籠もる英賀城は落ち、英賀本徳寺をはじめ多くの真宗寺院が軒を連ねていた城下も一面の火の海と化したと伝えられる。

 この戦いの中で城に籠もった英賀衆の子孫の1人が作家司馬遼太郎で、司馬は官兵衛を主人公にした小説『播磨灘物語』の中でかなりのスペースを英賀城攻防に割き、官兵衛が多くの軍功をあげ、特に秀吉軍が播磨に入る前に英賀の港に上陸した毛利の五千の兵に対し、わずか千の手兵でこれを撃退したことにも詳細に触れている。

 当時の城や町の遺構は城下が火の海となったため残っておらず、英賀神社とその裏手に残る城の土塁の跡、城主の墓所がある英賀薬師、英賀城本丸跡の碑、随所に建つ城門跡の碑、英賀の港跡の碑、明蓮寺境内の英賀本徳寺跡の碑などがわずかに往時の歴史を偲ばせている。

 むしろ、この英賀で映像的に面白いのは、先の太平洋戦争での戦火を免れたためか、随所に昭和レトロ的な建物が残っていることで、英賀神社周辺に点在する古い佇まいの豪邸や、昔の街道沿いに連なる色褪せた外観の商店、どこか懐かしい長屋風の建物などを捉えることができる。

 これといった遺構や観光スポットがあるわけではないが、「歴女(れきじょ)」をはじめとする歴史ファンや官兵衛ファン、司馬遼太郎の愛読者にはぜひ訪れて欲しい町である。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

「姫路科学館 リニューアルオープン!」

 姫路科学館は、姫路市郊外の緑豊かな地に1993年に開館した総合科学館です。開館から16年“アトムの館”の愛称で親しまれてきたこの姫路科学館が、今年の8月1日にリニューアルオープンしました。

 新しい常設展示では、「実験体験」と「本物にふれる」ことを重視し、一人ひとりが条件を変えて何度も試し、まるで実験をしているかのように現象を確かめられるオリジナルの展示装置がたくさん作られています。1階エントランスには、直径2.2メートルの「ジャンボ熱気球」などの巨大展示物があり、2階は、“地球と郷土の自然”がテーマとなっており、地球と生命の歴史から身近な郷土の自然まで、標本とジオラマで紹介しています。

 3階は、“身のまわりの科学”がテーマとなっており、身のまわりの現象を整理し、実験可能な展示装置で紹介しています。4階は、“私たちの宇宙”がテーマとなっており、私たちが知っている宇宙の姿と原理を、CGと実験装置で紹介しています。

 また、収蔵資料の公開コーナーでは、化石や標本などの実物資料を定期的に入れ替えて展示されますので、いつでも新しい発見のある科学館となっていますので、ぜひお越しください。

姫路科学館ホームページ http://www.city.himeji.lg.jp/atom/index.html

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