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2008/12号

どこか懐かしいデジャビュな情景が取り込める、寅さんも愛した町

(たつの市龍野)




 先月に引き続き「播磨の小京都」龍野のロケ地としての魅力を、今月は“レトロな雰囲気”に絞って紹介していこう。

 山田洋次監督のお眼鏡にかない、映画「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」(昭和51年公開)の舞台にもなった龍野だが、黒い瓦と白壁の民家や商家、醤油蔵や寺院などが点在するどこか懐かしい町並みは撮影当時とほとんど変わらず、ゆったりとした時の流れに身を横たえたレトロな雰囲気が今も町中を覆っている。

 まず、お城への本通りと商人町だった上川原の道筋が交差する「角目(かどめ)」界隈。明治後期に建てられた町家を復元した「かどめふれあい館」があり、ベンガラ塗りの格子が目を引く外観もさることながら、土間から通り庭に抜ける建物内部もなかなかの雰囲気。

 角目から右手に進むと「伏見屋」という本屋さん。明治34年(1901)の創業で、外観などは補修されているが、建物内部は往時と変わらず、吹き抜けになった中央部の天窓から柔らかな陽射しが注ぎ、壁に添って回廊状になっている二階部分の意匠を凝らした木の手すりや書架も昔のまま。学生服にマント姿の戦前の学生たちが熱心に本を読みふける、そんな光景が目に浮かんでくる。

 伏見屋からさらに進むと「門の外」と呼ばれる一画で、道に沿って昔ながらの商家や町家、醤油工場などが連なっている。映像に取り込みたい古い家があっても隣近所がモダンな家で、落胆するケースが多いが、この界隈なら古き良き時代の町並みが切り取れそうだ。

 再び角目から左手に向かうと「うすくち龍野醤油資料館」。昭和7年に地元の醤油会社の本社として建てられたレンガ風の洋館で、アールヌーボー風な外観デザインも魅力だが、往時の社屋の面影を残す建物内部も絵になる。少し北に大正末期に事務所として建てられた洋館もあり、こちらは資料館の別館になっているが、前庭が広く、〈引き〉があるという点ではより外観を捉えやすい。

 龍野城に近いこれらの一画からずっと南に下った十文字(どじ)川沿いもおすすめ。醤油蔵の土塀や出格子に本瓦葺きの古い商家や町家が小さな川沿いに軒を連ね、しっとりとした風情を醸し出している。
 さらにそこから下ると、今は亡き太地喜和子が扮した映画「寅次郎夕焼け小焼け」のヒロイン・ぼたんの家が設定された「日山」界隈。入り組んだH地のそこかしこに黒板土塀を巡らせた古い町家や土蔵、風雪に晒された醤油工場などが残り、まるで時間が置き忘れられたようだ。

 いずれにせよ龍野は、どこか懐かしいデジャビュな(既視感のある)情景を、点や線ではなく面で取り込める貴重な町だと言えるだろう。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

「全国凧あげ祭り」



 今年もあと1ヶ月となってしまいました。大晦日に正月はもうすぐですが、その前にクリスマスがありましたね。クリスマスといえば、姫路市香寺町にあります日本玩具博物館(http://www.japan-toy-museum.org/)です。毎年この時期に、世界各国のクリスマスの飾りなどを紹介する展示会を行っていまして、今年は「世界クリスマスマーケット」と題して、平成21年(2009年)1月20日(火)まで開催されます。

 日本の郷土玩具や近代玩具、伝統人形、世界150ヶ国の玩具や人形など、総数8万点を超える資料を収蔵している博物館が行っている、恒例展となっています。

 恒例といえば、もうひとつあります「全国凧あげ祭り」です。この全国凧あげ祭りは、日本玩具博物館が開館した翌年の昭和50年(1975年)から始まりました。その頃アメリカ生まれの三角翼の凧(ゲイラカイト)が大流行、日本の空から和凧が消えようとしていました。そのため当館は収集していた日本の伝統凧を館内に展示するだけでなく、大空に揚げて日本の凧の美しさや素晴らしさを紹介し、子どもたちの思い出づくりにと館の前の田んぼを会場に始めました。回を重ねる度に参加者見物人が増え、会場が手狭になったため姫路市の協力を得て姫路公園競馬場に移して現在に至ります。

 新春は凧揚げの季節でもあり、全国で凧揚げ大会などが開催されますが、規模内容から全国屈指のものとして広く知られるようになりました。

 第35回目となる「全国凧あげ祭り」は、平成21年(2009年)1月11日(日)10:30〜15:00姫路公園競馬場にて開催予定です。(雨天中止)

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