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2008/11号
時代劇向けのロケ地が随所に。城下町の面影を残す播磨の小京都
(たつの市龍野)
姫路市の北西に位置するたつの市龍野。「播磨の小京都」とも呼ばれる城下町らしい歴史的風情と、映画「男はつらいよ」の舞台にもなった豊かな叙情性を備えており、時代劇にも昭和レトロな物語にも使える貴重なロケ地だと言える。そこで今月と来月の2回にわたって、その魅力を紹介していこう。今月は時代劇向けのロケ地で、真っ先に挙げられるのが聚遠亭。藩主脇坂公の上屋敷跡で、安政年間に脇坂安宅が天皇から拝領したと伝えられる数寄屋風の茶室が池に浮かび、周囲の庭園とも溶け合い、まさに江戸時代の御屋敷の風情。そばには脇坂公と奧向きの家族らの住まいだったという別館(御涼所)も建ち、こちらは外縁部がガラス戸になっているので外観は無理だが、内部は純和風で、武家屋敷に見立てることは充分可能だ。
聚遠亭の東には龍野城址がある。明治維新によって1度取り壊され、昭和50年代に城壁、多門櫓、埋門、石垣、本丸御殿などを再建したものだが、30年余の熟成の時によってそれなりの古色を帯び、歴史ドラマのワンシーンを彩ることができそうだ。
また、本丸御殿の中には床の間を背にした上段の間と下段の間が復元されており、金泥引・金砂子打の障壁も相まって往時の御殿の華やかな雰囲気を偲ばせている。上段に殿様、下段に家臣の、時代劇でお馴染みの場面が目に浮かんできそうである。
龍野城址から南西に少し下ると、江戸末期の武家屋敷を保存整備した武家屋敷資料館もある。当時の下級武士の屋敷で、建物そのものはさほど大きくないが、式台の付いた玄関や庭に面した座敷、ベンガラ色の内壁などはなかなかのもの。ただし全体に・引き・がなく、撮影には難しい点も少なくない。
最後に、ぜひともお勧めと言えるのが藩祖・脇坂安治を祀る龍野神社。聚遠亭のすぐ近くにあるのだが、凛とした社殿の佇まいはもちろん、そこに至る長い石段、巡らされた白漆喰の壁、今にも崩れ落ちそうな山門の屋根瓦、脇坂家の家紋「輪違い」が刻まれた倉庫?などが歴史を感じさせ、場違いな今風の人工構造物も一切見当たらない。例えて言うならば、藤沢周平の時代小説によく出てくる藩政改革を目指す若侍たちの密会場所にぴったりという雰囲気で、そうなると脇坂家の家紋が邪魔になってくるが、それをさておいてもロケ地としての価値は充分。聚遠亭に龍野城址、そしてこの龍野神社。幾つものシーンを数日のうちに撮影できるという点でも、見逃せないロケ地ではないだろうか。
姫路へ行こう!今月の話題はこれ
「姫路城文化遺産登録記念日」
日ごとに寒くなってきましたが、気がつけば今年も残りわずかとなりました。
季節は冬ですが春の話から入ります。4月6日は「46→しろ」と読めることから、平成2年に市民の提案によって「しろの日」記念日として制定されました。以来、姫路城と周辺施設を無料開放してきました。しかし、花見シーズンでもありましたので観光客が多く、特に姫路城において入場者数が非常に多くなり雑踏事故の危険性が高く、また文化財保護の観点からも姫路城の入城制限が常態化となっていました。
今年から、4月6日の無料開放は終了しまして、12月11日に変更となります。
1993年12月11日、姫路城が日本ではじめて、ユネスコの世界遺産に登録された日です。この世界遺産登録日に周辺施設を含めた5施設の入場料を無料といたします。
ひと味違った冬の姫路をご堪能ください。
入場が無料となる施設は以下の5施設です。
・姫路城
・姫路市立動物園
・姫路市立美術館
・姫路文学館
・兵庫県立歴史博物館