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2008/08号

深山幽谷の趣をたたえた渓谷と石垣が残る中世の山城

(相生市矢野町瓜生)




 渓流沿いに続く道を鬱蒼と生い茂る大木が包み、さらに奧に分け入っていくと、樹幹の間にゴツゴツとした岩肌が覗き、ヒンヤリと湿り気を帯びた空気と、時の流れを押しとどめるかのような静寂だけが辺りを包むこんでいる。
 
 相生市の北部、西播丘陵県立自然公園の一画にある羅漢渓谷。その名の通り、渓谷の中ほどにある岩窟の中に、室町時代に彫られたという20体近い石仏が並んでいることで知られるが、紅葉の名所として秋には大勢の観光客が詰めかけるものの、涼を誘う夏場にもかかわらず、人影はほとんど見当たらない。

 渓谷の入口から少し西に向かうとコテージやキャンプ場がある「羅漢の里」と呼ばれるアウトドアスポットがあり、家族連れなどはほとんどそちらに行ってしまうせいもあるが、どこか神秘的で霊気が漂うような渓谷の雰囲気が一般的な観光やレジャーには馴染まないのかも知れない。

 だからこそ逆にロケ地としては魅力があると言え、後で紹介する中世の山城・感状山城の搦手にも通じる渓谷は、歴史ドラマにすんなりと受け入れられそうな趣と佇まいを残している。石仏へと向かう参道入口に立つ苔むした地蔵尊、参道の両側にそそり立つ巨大な石塊、鎮座する石仏を守るために築かれたのであろう古城の趣をたたえた石垣、渓流のそばに幾つも見られる賽の河原のような石積み……。落武者や修験者、忍者や訳ありの旅人がひっそりと辿るような道であり渓谷で、人工構造物も少なく、いろんな場面のイメージが膨らんでくる。

 また、渓谷の入口近くからは国指定史跡の感状山城に登ることもできる。室町末期に播磨の豪族だった赤松氏一族が城を築いたのが始まりとされ、山上には曲輪の跡や城の石垣なども見られ、石垣が残るあたりは野武士たちの隠し砦といった雰囲気もある。

 山上へは徒歩しか登る方法がなく、ネックとなるが、羅漢渓谷は播磨科学公園都市に向かう幹線道路から少し入った所にあり、駐車場に車を置いてスグと言って良い近場。こんな便利な場所に、こんな神秘的な渓谷があるとは……ロケハンに訪れた際には、きっとそう驚かれるに違いない。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

「スクリーンに映したい姫路の魅力 フォトコンテスト!」



 まだまだ残暑が厳しいですが、体調に気をつけてお過ごしでしょうか。
 今月は、昨年も実施しましたフォトコンテストについてのお知らせです。

 姫路で映像作品などの撮影場所として一番多く使われるのが、言うまでもありませんが「姫路城」です。映画、ドラマや旅番組など毎年、数多くの作品が撮影されています。

 しかし、姫路のロケ地は、姫路城だけではありません。神社仏閣などの歴史的景観にとどまらず、山あり海ありの豊かな自然景観や、おしゃれな現代建築もある都市景観など、さまざまな風景があります。

 姫路フィルムコミッションも「お城だけじゃない姫路の魅力」をテーマに、ロケーション撮影の誘致・支援に頑張っています。

 姫路には、魅力的な場所がまだまだ隠れていると思います。そこで皆様に「スクリーンに映したい姫路の魅力」をテーマに、「この場所を映画やテレビに登場させては?!」というロケ地になりそうな場所の写真を撮ってお寄せいただきたいです。

 昨年も多数の応募があり、新たにロケ地となりそうな場所を発掘しました。今年も、いいロケ地が発掘できることを期待しています。(写真は昨年の優秀賞作品)

   ■規格〓2L以上四つ切り以下のプリント。白黒や組み写真は不可
    (1人3点まで。詳しくは募集要項で確認を)
   ■募集要領〓観光交流推進室、姫路観光なびポートのほか、各地域
      事務所、各支所・出張所などで配布

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