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2008/06号
板壁の民家が連なる小さな港町。広い砂浜が続く海浜公園にも魅力が
(姫路市的形町)
姫路市の南東部の海岸線に位置する的形町。ここには的形と福泊の2つの港があり、奈良時代に僧行基が築いたという摂播5泊の1つ韓泊(からとまり)に比定されている。現在では両者とも小規模な港の域を出ないが、その歴史の古さもあってか周辺には映像的魅力にあふれた場所が少なくない。まず海に突きだした泊山という小さな山の東にある的形港。漁船やヨットが舳先を並べる小さな河口の港周辺には、焼き杉の板壁を巡らせた重厚感あふれる古い民家や倉庫が軒を並べ、しっとりとした落ち着きを醸し出している。播磨には前回紹介した坂越(赤穂市)や室津(たつの市)など趣ある港町が少なくないが、この的形も小ぶりながら味わいがあり、ひっそりと佇む「静止画」のような港町を映像に取り込みたい場合には最適。海に面して桜の美しい住吉神社や、川の対岸には広大な塩田跡もあり、姫路市民でも知る人の少ない穴場的存在である。
泊山の山上にある海岳寺にも惹かれるものがある。行基の開創と伝えられる古刹で、長い石段を見上げると視線の先に鐘楼門が見え、趣のあるアングル。鉄製の手すりが備え付けられているので時代を遡らせるわけにはいかないが、たとえば古い港町の寺に墓参に出かける女性の後姿を捉えたいという誘惑にもかられる。寺の脇には地元の人たちが丹精している野菜畑が広がっており、遙かに海も。いかにも瀬戸内海の寺院らしい雰囲気である。
一方の福泊港は泊山の西に位置する小さな漁港で、西側に奇岩・巨岩が織りなす断崖が海に迫る名勝「小赤壁」があるが、今回紹介したいのは港の東側にある福泊海浜公園。キャンプ場とマリーンベルトと呼ばれる広い砂浜からなり、家族連れやウインドサーファーたちで賑わっているが、この砂浜も魅力的。県の整備事業によって誕生した砂浜で、当初はいかにも人工的な匂いが鼻についていたが、歳月というのはありがたく、今ではすっかり周囲の景観と馴染み、人工の浜辺とは思えないほど。北側が山で、建造物もほとんどないので、うまくアングルを切り取れば島の浜辺そのもの。奥行きもあるので、時代劇の格闘シーン、たとえば巌流島の決闘シーンなどにも取り込めそう。これまた姫路市内のロケ地の穴場と言えそうである。
姫路へ行こう!今月の話題はこれ
「海の上の獅子舞」
もう近畿地方は梅雨入りとなり、鬱陶しい時期となりました。日差しがまぶしい夏が待ち遠しいです。夏といえば夏祭りですが、今回は、家島で行われる夏祭りについて紹介します。
家島諸島の代表的な夏祭り「家島天神祭」は、毎年7月24・25日に行われる家島神社の例祭です。菅原道真公のゆかりと伝えられている家島神社は、1000年以上の歴史をもち、海の男たちの信仰を集めています。
海上の安全と五穀豊穰を祈願して奉納される神事は25日の昼宮で龍頭の檀尻船(2隻の船を合わせ、絢爛豪華な装飾をほどこし、舞台を備えた船)で渡御する威勢のいいものです。
檀尻船の天井は市松模様で彩られ、周囲は彫刻を施された欄間で飾られています。のぼりをたてた豪華な船内では、笛や太鼓ではやしが鳴り響き、音頭に合わせて獅子舞が演じられます。海上を航海する檀尻船は圧巻です。
天神祭のフィナーレとして、25日午後九時から花火大会があり、約1000発の大輪が夜空を彩ります。
夏休みの思い出に、船に乗って家島へ行かれてはどうでしょうか。
【家島へのアクセス】
姫路港より高速船で約30分
詳しくは http://www.city.himeji.lg.jp/s20/3251001/_16957/_16963.html