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2007/06号

奇岩が露出した小冨士山と、時代劇に取り込みたい河合家墓所

(姫路市奥山・兼田)



 生涯旅することもなかった庶民の日本一の名峰への憧れからか、あるいは旅慣れた人間が在の人々に富士山に似ているとでも言ったのか、全国には「○○富士」と呼ばれる山が千ほどあるそうだが、今回紹介する小冨士山(麻生山)もその一つ。その昔、神功皇后が戦勝を祈願し、弦を作ろうとしたとき、弓で地を叩くとたちまち一面に麻が生え、これで弦を作ったという伝説が残る山でもある。

 標高171mの小さな山だが、修験者の修行の地としても知られ、ゴツゴツとした岩の間を縫って登山道が続いている。重い撮影機材を担いでいくには少々大変だが、修験道の祖である役行者(えんのぎょうじゃ)を祀る華厳寺がある山頂あたりはなかなかの雰囲気。風雪にさらされて色褪せたお堂を北に、白っぽい土が広がる中、左右に仏像を刻んだ石碑が並び、下界と違いここだけは時の流れが止まったよう。南側には白い岩肌を露出した平坦な一画が広がり、その先は切り立った崖。瀬戸内海や姫路市街を望む眺望も文句なしだが、画面を切り取ればサスペンスものや時代劇の格闘シーンなどにもってこいで、スリリングな映像を取り込むことができそうだ。山麓には近代的な整備が施されていないため池も多く、使い勝手の良い場所だともいえる。

 また、小富士山の西に連なる仁寿山(じんじゅざん)の東麓には仁寿山黌(校)跡が残っている。仁寿山黌は江戸時代後期に姫路藩の財政再建を手がけ、名家老として知られた河合道臣(寸翁)が藩校とは別に、在野の有為な人材の育成のために開いた私設の学校で、今は竹藪の中にわずかに土塀が残るだけだが、こちらも何かのシーンに取り込みたいところ。

 さらに、仁寿山南麗の幹線道路から少し入ったところに、河合道臣ら一族を祀る河合家墓所がある。土塀を巡らせ、内部を三段に整地し、一族の墓が並んでいるが、いかにも江戸時代の重臣の墓所という雰囲気。昨今の時代劇では、墓前に参るシーンなどでも墓地が現代風に整備されていて、違和感を覚えることがあるが、この墓所は緑の木立の中に周囲と隔絶して設けてあり、ところどころ崩れかけた土塀や時代を感じさせる墓碑が、今にもそこに武士が現れ、墓前に額ずくシーンを思い浮かばせる。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

姫路で海を満喫できる場所を紹介します


 梅雨の季節、じめじめ蒸し暑い日々が続いていますが、夏の到来が待ち遠しい方々が多いと思います。さて“夏”といえば“海”!今回は姫路で海を満喫できる場所を紹介します。

 瀬戸内海に浮かぶ島「家島町」。家島町は“家島(いえしま)”“男鹿(たんが)”“坊勢(ぼうぜ)”“西島(にしじま)”の4つの島で構成されています。4つとも島としてはそれほど大きくはありませんが、漁業や砕石業が盛んで、若者も多く、島のいたる所で子供の声が聞こえてくる島です。もちろん漁業が盛んな島ですので魚はおいしく、新鮮な魚の味付けは醤油が基本で、余分な調味料は使わないとか。また驚きは島にある魚屋さん、魚が並んでいるのではなく水槽が並び、そこで泳いでいる魚を買うのが普通だとか。ホテルはありませんが民宿があり、そこではおいしい魚はもちろん、心温まるもてなしで皆さんを迎えていただけます。

 さて、夏のイベントですが、家島本島では毎年7月24日(火)・25日(水)の2日間“家島天神祭り”が開催されます。この祭りでは海上の安全と五穀豊穣を祈り、幟を立てた豪華な壇尻船の上で獅子舞が奉納されます(両日)。また25日には花火を楽しむこともできます。
また坊勢島では8月4日(土)に海の恩恵に感謝し、海の男たちの操業安全と豊漁を祈願して“ぼうぜペーロンフェスタ2007”が開催されます。20名の漕手がペーロン船に乗りその速さを競うものですが、小学生、中学生の部から一般男子、女子、そして男女関係ないオープンの部まであり、十分楽しめるイベントです。

 そして最後は海水浴です。家島本島、坊勢島、男鹿島に海水浴場があり、7月2日までにはすべて海びらきがおこなわれます。湘南や神戸市の須磨のように広いビーチではありませんが、小さなお子さんにも目が行き届き、安心して遊ばせることができるビーチです。
この夏、イベントを楽しむもよし、ビーチで遊ぶもよし、なによりもおいしい魚に舌鼓を打つことができる家島町へ行ってみてはいかがでしょうか?

 詳しいお問い合わせは姫路市家島事務所Tel 079-325-1001まで。

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