メールマガジン
最新の記事
2007/05号
川面に映る土壁の土蔵や川座敷──宿場町の面影を伝える川端風景
(佐用町平福)
古い歴史を持つまちには、その土地固有の街並み景観というのがある。代表的なのが倉敷の町家地区や萩の武家屋敷地区などだが、規模こそ比較にならないものの、兵庫県の西端に位置する佐用町平福にも「川端風景」と呼ばれる独自の街並み景観が残っている。平福は江戸時代、播磨(姫路)から美作(岡山県大原町)を経て因幡(鳥取)に至る因幡街道随一の宿場町として栄えたところで、その賑わいぶりは「大原夜出て釜坂越えて、花の平福朝駆けに」と里謡にもうたわれたほどだが、平成の今も国道三七三号から少し外れた人通りも少ない旧街道筋を歩いてみると、道の両側に千本格子に虫籠窓の古い町家や白漆喰壁の造り醤油屋、なまこ壁の装飾を施した商家などが残り、宿場町の面影を偲ぶことができる。
街道の東側には佐用川が流れており、川に面した家の多くが川沿いに離れや川座敷をしつらえているのだが、対岸からながめると、野面積みの石垣の上に土壁の土蔵や川屋敷が並ぶ独特の景観を形づくっている。これが冒頭に紹介した川端風景で、とりわけ夕暮れどきの夕陽に赤く染まった川面や土蔵、川座敷は美しく、歴史の重みを感じさせるとともにどこか儚げで、見る者に少なからぬ感動を与える。
その魅力からか、この川端風景は篠田正浩監督、郷ひろみ主演の『鑓の権三』のロケ地にもなったが、平福のまちそれ自体が、映画『男はつらいよ』でお馴染みの、旧き良き日本の佇まいを残し、その中に人々のさりげない日々の営みがある……といったシチュエーションにぴったりのロケ地だとも言える。
また、まちの南の外れには、平福にもゆかりの深い宮本武蔵が初めて決闘を行ったという場所も残っているが、そこには風雪にさらされた六地蔵が祀られ、このあたりも映像に取り込みたい一角である。
ほかにも江戸時代の遺構である陣屋門や江戸時代の町家を復元した郷土館、さらにはまちを見下ろす山上には往時の石垣などが残る利神山城跡などもあり、一度は立ち寄ってみる価値のあるまちだと、自信を持っておすすめすることができる。
姫路へ行こう! 今月の話題はこれ
姫路フィルムコミッション「シネマ・プレビュー」(試写会)を開催!
5月19日(土)には、今年で4回目を迎えた姫路市最大のイベント「ザ・祭り屋台in姫路」が開催され、11万人の人出で賑わいました。昨年、雨で1日順延されたこともあり、天気が気になっていましたが、無事終了しいよいよ夏近し、ただその前にジメジメとした梅雨を乗り切らないといけません。
そこで、雨でも問題なく開催できる催しを紹介しましょう!
姫路フィルムコミッションでは設立以来毎年、姫路で撮影された映画の上映を行ってきました。そして今年は昨年12月17日に撮影をおこない、6月23日(土)全国公開の作品「憑神」(つきがみ)[公式HP:http://tsukigami.jp]を、6月16日(土)18:00から試写いたします。場所は姫路城の南側(姫路駅側)にある“イーグレひめじ(姫路市本町68[http://www1.winknet.ne.jp/~egret-himeji/f1/chizu1.htm])”内の3F「あいめっせホール」、定員は260名です。応募については姫路FCのホームページ[http://www.city.himeji.lg.jp/fc/]をご覧ください。締切りは6月1日(金)必着となっています。またすでに定員をオーバーしているため抽選になりますのでご了承ください。
そしてさらにFCのイベントを!
姫路FCでは上記のシネマ・プレビューに併せて、5月26日(土)〜6月16日(土)まで、同じく“イーグレひめじ”1Fアトリウム(オープンスペース)の1Fのオープンスペースで「姫路FCの歩み展」(無料)を開催いたします。
2001年9月5日に姫路フィルムコミッションが産声を上げてから、今年の9月で6年となりますが、これまでに撮影支援してきた作品は、映画やテレビドラマなど450本以上になります。今回の展示では、今まで支援してきた代表的な作品の撮影風景などを写真パネルにし、そのときのエピソードなどを交えて、この6年間を振り返ります。また、試写を行う「憑神」は特別にコーナーを設け、姫路をはじめ様々な撮影風景の写真と、姫路ロケでのエピソードも併せて紹介します。皆さんぜひ一度ご覧下さい!