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2007/01号
断崖の下に続く遊歩道と海へのロマンをかきたてるヨットハーバー
(姫路市木場)
2002年7月号でも簡単に紹介したが、姫路市の東南部の海岸線に「小赤壁」と呼ばれる景勝地がある。海に迫り出した山に沿って奇岩、奇石が高さ50m、長さ800mにわたって断崖をなし、江戸末期に姫路藩の名家老・河合寸翁が設立した仁寿山校を訪れた頼山陽が、その景観が中国揚子江の赤壁を彷彿させるところから命名したと伝えられている。その断崖の下を磯伝いに遊歩道が続いている。遊歩道と言っても、足場の悪い所にコンクリートを流し込み、足場の良い所は砂浜や岩礁の上を伝い歩くという素朴なものだが、整備されてから30年近くもたっているせいか一部は崩落し、人工の遊歩道という感じは薄れてきている。
近世以降、江戸を起点に街道筋の整備が進んだものの、所によっては海伝いの難所を波と波の間を縫って旅人たちが行き交ったと聞くが、切り立った崖が行く手を遮るかのように立ちふさがり、あるいは今にも崩れ落ちてきそうな巨大な岩が頭上の木々の間に連なる遊歩道は、アングルによってはそうした古の道を再現できそうな気もする。
また、逆に視線を海側に転じると、左右に工場地帯の煙突や石油タンクの群れ。一転してどこか殺伐とした「現代」が甦り、サスペンスものなどの遠景にぴったりの雰囲気を醸し出している。
その遊歩道の西端に連なるのが木場ヨットハーバー。八家川の河口に開設されたもので、瀬戸内海のクルージングを楽しむシーマンたちの母港として親しまれているが、あの堀江謙一氏が太平洋単独航海に初めて乗り出したのもこの港。今はオフシーズンとあってか船の出入りは少ないが、海上ブースにはカラフルなクルーザーやボートがポールを天に突き立てて停泊し、大きなクレーンのある陸上ブースには上架された船が静かに骨を休めている。
ヨットハーバーだけでなく小赤壁の断崖上にも駐車場がありアクセスは良好。島影が点在する美しい瀬戸内海を望み、そそり立つ岩肌や緑を背景にした自然海岸は、映像的にも魅力があるのではないだろうか。
姫路へ行こう! 今月の話題はこれ
子どもから大人まで楽しめる“おもちゃ”はいかがですか?
姫路市の北東部に位置する香寺町には、世界145カ国8万点あまりの資料を所蔵した“日本玩具博物館”があります。ここは館長の井上重義さんが、失われゆく子どもの文化財を後世に伝えようと郷土玩具を収集したのが始まりで、世界的にもユニークな博物館です。
敷地内には1号館から6号館まであり、昔懐かしい“鉄腕アトム”や“鉄人28号”などのブリキのおもちゃが楽しめるほか、自由に休める空間には、何か懐かしさを感じる暖炉や縁側もあります。
その他1号館では年4回の、6号館では年3回の企画展・特別展もおこなわれています。現在1号館で開催されている企画展は「独楽と羽子板」(2月20日まで)で、日本各地にある様々な形の独楽が展示されています。例えば雪の上で回す青森地方にある“ずぐりゴマ”や九州地方にあるラッキョウ型をした独楽など、かつて日本の正月の遊びを彩ってきたコマと羽子板、約350点が展示されています。
また6号館では、3月3日の節句に併せ、雛人形の色々を展示する「雛の世界」が2月3日から4月10日まで開催されます。みなさん是非一度足を運んでみてください。
交通アクセスの詳細は http://www.japan-toy-museum.org/koutuu.html
日本玩具博物館公式HPは http://www.japan-toy-museum.org/