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2007/02号
入母屋の茅葺き屋根と素朴な土壁。甦る元禄時代の豪農屋敷
(加古川市東神吉町)
昭和41年に建設された兵庫県の工業用ダム、平荘湖の湖畔に位置する加古川市立少年自然の家・野外活動センターの緑豊かな一画に佇む「本岡家住宅」。県指定文化財にもなっているこの建物は、天正年間(1573〜92)に同市八幡町下村に居を構え、代々庄屋を務めていた本岡家の八代目当主嘉平次が、元禄7年(1694)に大工の八左衛門に依頼して建てた大型の民家で、平成10年に元禄時代の姿に修理復元の上、この地に移築されたものである。瓦葺きの下屋を設けた入母屋の茅葺き屋根と素朴な土壁が印象的な建物で、雨戸を開け放つと、南向きの陽あたりの良い縁側に面した障子が淡く柔らかな陰影を描き、まるで祖父や曾祖父の時代の農家の軒先に佇んでいるような懐かしさに襲われる。
大戸口を潜って建物の中に入ると広い土間で、奧に流し場と納屋があり、左手に居室が続いている。農家によくある田の字型の4間取りではなく、6間取りになっているのが特徴で、表しになった太い柱や木の歪みを生かした黒光りする梁、部屋と部屋を仕切る板戸や襖、土壁が古びた味わいを見せ、そのまま江戸から戦前にかけての豪農の屋敷にワープした感じ。
一方、床が2つ同じ形で並んでいる珍しい意匠の奧の間や、その手前の神の間は、武士の流れをくむという本岡家の矜持がそうさせたのか、壁は漆喰塗りで、2段の貫(ぬき)が横に走り、なかなかの風格があって、武家屋敷の1室としても捉えることができる。
文化財でありながら、「活用しながら保存していきたい」というのが建物を管理する加古川市の考えで、映画などのロケに支障はなく、しかも建物が野外活動センターの一画にあるだけに、実に広々としたロケーション。特に南側は遮るものがなく、さまざまなアングルが楽しめる(但し北側にはコテージなどがあり、視線の抜けがない)ほか、野外活動のシーズンを除いては静寂に包まれているのも魅力の1つ。同センターに隣接する平荘湖も春は桜、初夏は紫陽花、冬は渡り鳥の飛来地として知られ、映像に取り込みたい景観の良さを誇っている。
姫路へ行こう! 今月の話題はこれ
今月の話題は"さくら"
立春も過ぎ、もうそろそろ花見がしたいなーと思っておられる方もいるのでは?そこで、今月は"姫路のさくら"をご紹介しましょう!
姫路で"さくら"と言えば、にっぽんの桜百選にも選ばれている姫路城の桜、周辺の公園なども含めると約1700本余りあります。4月7日(土)には毎年恒例の「姫路城観桜会」も開催される予定(雨天の場合は翌8日に順延)。さらにこれまでは2日間だけおこなわれていた姫路城内での夜桜見学も、今年は4月3日(火)〜10日(火)の10日間開催することになりました。皆さん是非一度ご覧になってください。
ただ、毎年多くの方が来られますので、出来るだけ公共交通機関のご利用をお願いしています。また撮影の方は非常に撮影困難な時期となっています。人のいない早朝を利用した撮影などにも対応しますので、撮影の依頼は当コミッションまでお願いします。
さて、まもなく姫路市が周辺の4町と合併してほぼ1年になりますが、そこで、新たに加わった"さくら"を2つほど紹介しましょう!
一つは夢前町新庄(しんじょ)にある桜並木です。言葉では説明しにくいですので写真で見てください。夢前川の両側の土手に広がる桜は見事なものです。もちろん桜の下ではお花見もできます。